ミラノ五輪 二階堂蓮選手 銀の重みと涙の理由「父に金を見せたかった」初出場で3個目のメダル
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イタリア・ミラノで開催中のミラノ・コルティナオリンピック。ノルディックスキー・ジャンプ男子ラージヒルで、日本の二階堂蓮(日本ビール)が合計295.0点を記録し、銀メダルを獲得した。五輪初出場ながら今大会3個目のメダル。だが表彰台で見せたのは笑顔ではなく、抑えきれない涙だった。
▪️140メートルの衝撃、それでも届かなかった頂点
1回目、二階堂は140メートルのビッグジャンプで首位に立つ。完成度の高い飛型、伸びのある飛距離。本人も「ラージヒルでは一番いいジャンプだった」と振り返る内容で、金メダルの期待を抱かせるには十分だった。
しかし2回目、136.5メートル。飛び出し直後に左スキーがわずかに落ち、後半の伸びを欠いた。結果、トップの座を守りきれず銀。勝者となったのはスロベニアのドメン・プレブツで、2回目に圧巻のジャンプを決め、会場の空気を一変させた。
「自分の番が近づくにつれて、やっぱり緊張はしていきました」
そう語る二階堂の声は、どこか冷静だった。
▪️「我慢できなかった」父の姿に込み上げた大粒の涙と思い
競技後、二階堂は観客席にいた父・学さんの胸に飛び込み、声を上げて泣いた。普段は感情を表に出さないタイプだという。
「父さんに金メダルを見せたかった。その思いが強すぎて…我慢できなかった」
悔しさと感謝が入り混じる涙だった。父からは「上出来だ。よく頑張った」と声をかけられたという。
4年前、世界の舞台でメダルを争う自分を想像できただろうか。「当時の自分からしたら、ここでメダルを取れるなんて思いもよらなかった」。積み重ねてきた時間が、確かな結果として実を結んでいる。
▪️銀の先にある金へ
今大会、二階堂はすでに個人ノーマルヒル、混合団体で銅メダルを獲得している。これで五輪通算3個目のメダル。だが本人に慢心はない。
「僕よりすごい人はたくさんいる。まだまだです」
金メダルに何が必要か・・・その問いには「場数」と即答した。
ワールドカップ、世界選手権、ビッグタイトルの舞台で結果を重ねること。
それが本当の自信につながると分析する。
16日(日本時間17日)にはスーパー団体(スーパーチーム)が控える。
銀の悔しさを抱えたまま、二階堂は前を向く。
「スーパーチームは絶対に金を取りに行きたい」
流した涙は、敗北の証ではない。頂点を本気で狙った者だけが流す、覚悟の涙だ。
銀の重みを知った23歳は、すでに次の跳躍を見据えている。


