ミラノ五輪スノーボード男子パラレル大回転競技 「誰も疑いたくない」 不正判定失格の斯波正樹選手の検証されるべき事実

2026.2.9

【斯波正樹選手Instagramより投稿画像】

ミラノ・コルティナ冬季五輪の舞台で、日本代表の挑戦は予期せぬ形で終わりを迎えた。
スノーボード男子パラレル大回転に日本から

唯一出場していた斯波正樹選手(39=TAKAMIYA)が、

ワックスの不正使用と判定され、予選失格となった。

ただし、本人の言葉から一貫して浮かび上がるのは、

「故意性」を明確に否定する姿勢だ。


 

問題が発覚したのは、予選1回目終了後に行われたボード検査だった。

22~23年シーズンから使用が禁止されているフッ素成分を含むワックスの陽性反応が検出され、検査は10回以上実施されたが結果は変わらず。

斯波選手は2回目の滑走を許されないまま、失格が告げられた。

失格が決まった直後、斯波はショックのあまり、しばらく立ち上がれないほど憔悴していたという。

約2時間後に取材に応じ、「結果はもう覆らない。本当に残念です」と前置きしたうえで、次のように語った。

「スポンサーや家族、多くの方の応援でここまで来ました。その中で失格になって滑れなくなったことが、本当に申し訳ない」

注目すべきは、その後の説明だ。

斯波選手によれば、レースで使用したボードは前日午後10時半ごろ、サービスマン(用具調整担当)がキャビン(倉庫)に収納し、施錠した状態で管理室に預けていた。レース当日の朝、午前6時半ごろに引き取って会場へと運ばれている。

この約8時間、ボードは選手本人の管理下にはなかった。

サービスマンも「なぜそうなったのか分からない」と話しており、斯波選手自身も第三者の関与を断定する発言はしていない。

むしろ、憶測が先行することを戒めるように、こう語っている。

 

「最初は何かの間違いだと思いました。機械の誤作動じゃないかと。でも、原因が分からない中で、基本的には誰も疑いたくない。それが大元の考えです」

意図的な不正を否定する言葉は、繰り返し発せられた。
「誰かを疑う」ことよりも、「何が起きたのかを事実として確認する」ことを優先した姿勢だった。

オリンピック競技ゆえに厳格なルールがある以上、競技結果そのものが覆る可能性はない。

仮に、本人の関与しない形で不正ワックスが付着していたとしても、ルール上、失格という判断が変更されることはない。

それでも斯波選手は、感情的な主張や抗議に踏み込むことはなかった。

 

39歳のベテランは、予選1回目の滑りについて「正直、いまいちでした」と冷静に振り返る。ただ、これまで何度も修正力で勝ち上がってきた選手だけに、その先を滑れなかった無念は大きい。

「夢かな、と思っています。夢であってほしい。目が覚めたら、また大会が始まるような……。でも、これが現実なんだと思います」

今回の件で問われるべきは、選手の姿勢や人格ではない。
管理体制や検査手順、そして“空白の時間”に何が起き得たのか!?

検証されるべきは、あくまで事実と仕組みだ。