日本テレビ×NetflixがWBCで異例のタッグ「放送の名門」は、なぜ配信プラットフォームと手を組んだのか
日本テレビが、2026年3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)をめぐり、Netflixと本格的に連携する。
Netflixが独占ライブ配信する大会において、日本テレビは中継制作を受託。さらに、地上波での関連特番放送などを通じて、プロモーションパートナーとして大会を盛り上げていく。
放送と配信が“競合”から“役割分担”へと移行しつつある中で、今回の取り組みは、日本のスポーツ中継史において一つの転換点となりそうだ。
▪️中継制作を担うのは日本テレビ 15試合を担当
今回、日本テレビが制作を手がけるのは、Netflixでライブ配信される全15試合。
その中には、東京で行われる1次ラウンド(東京プール)の日本代表戦4試合も含まれている。
地上波での生中継こそ行われないものの、日本テレビは「制作」という中枢部分を担うことで、大会のクオリティを左右する重要な役割を果たすことになる。
同局は声明で、「70年かけて培ってきた野球中継の確かな制作・技術力を、今大会においても遺憾なく発揮する」と強調。
日本の野球ファンが慣れ親しんできた“日テレの野球中継”のノウハウが、グローバル配信の現場に持ち込まれる。
▪️地上波は“熱を伝える装置”に 特番は9枠予定
一方で、日本テレビは地上波の役割を明確に位置づけている。
WBC開幕特番をはじめ、特別番組枠は計9枠を予定。詳細な放送日時は今後発表されるが、ニュース番組や情報番組とも連動しながら、大会の熱量を幅広い層に届けていく構えだ。
ライブ視聴はNetflix、世論喚起と関心喚起は地上波—視聴体験を“分断”ではなく“補完”として設計する点に、今回の提携の本質がある。
▪️「国民的関心事」をどう伝えるか!? 日テレの狙い
日本テレビは今回のWBCを「国民的関心事」と位置づける。
「WBC2026という国民的関心事を広く遍く伝え、野球文化のさらなる醸成に寄与できると考えています」
大会連覇が期待される侍ジャパンには、大谷翔平(ドジャース)、山本由伸らメジャーリーガーも名を連ね、国際的な注目度は過去大会以上だ。
その“歴史的瞬間”を、単なる配信イベントで終わらせず、日本社会全体の共有体験へと引き上げる。
そこに、日本テレビがこの座組みに加わる意味がある。
▪️放送と配信の主従が逆転する時代へ
これまで、配信プラットフォームは「放送の補完」と見なされがちだった。
しかし今回のWBCでは、主戦場は配信、制作と拡散を放送局が担うという逆転現象が起きている。
それは、放送局が“電波”だけに依存しない存在へと変わりつつあることの象徴でもある。
WBCは、野球の世界一決定戦であると同時に、
メディアの次の10年を占う実験場にもなっている。
日本テレビとNetflixの連携は、その最前線を示す一例となる。

