「ステロイド検査を、きちんとしてほしい」RIZINの大舞台で19歳が投げかけた“問題提起”と、元世界王者の即時反論

2026.1.29

【©️RIZIN FF】

2026年3月7日、東京・有明アリーナ。
RIZIN.52の追加対戦カード発表会見は、フェザー級メインイベントという大役以上に、ある一言によって記者席の空気を一変させた。

「ステロイドだけ、ちゃんと検査してほしいですね」

発言の主は、弱冠19歳の秋元強真選手(JAPAN TOP TEAM)。
対する相手は、元Bellator世界バンタム級王者のパッチー・ミックス。
世代もキャリアも、実績もまったく異なる両者の対峙は、

単なる“若手対ベテラン”の構図を超え、

格闘技界が抱える根源的なテーマを浮き彫りにした。


 

▪️元王者の階級転向「彼の“名前”をもらいに来た」

先にマイクを握ったのはパッキー・ミックスだった。
減量負担の大きかった135ポンド(バンタム級)を離れ、フェザー級での再出発。

その初戦に、日本で急成長を遂げる若武者を指名した理由は明快だった。

「145ポンドという新しい階級で、若くて素晴らしい選手と戦えることに興奮している。
彼は日本で評価されている。その“名前”をもらいに来た」

世界最高峰を知る者の自信と、再起を懸けた覚悟。
ミックスはあくまで冷静に、しかし確固たる自負をにじませた。

 

▪️10代最後の日に立つメインイベント

「アップセットだとは思っていない」

一方の秋元にとって、この一戦は偶然以上の意味を持つ。
試合当日である3月7日は、彼の10代最後の日。翌日、20歳の誕生日を迎える。

「10代最後の日に、有明アリーナのメインで、これ以上ない相手と戦える。
強いのは分かっているけど、正直アップセットだとは思っていない」

さらに「2026年のRIZINを盛り上げるのは俺」と言い切る姿には、
“期待される若手”ではなく、“自ら主役になる”という自覚があった。

 

▪️会見の空気を変えた一言

なぜ秋元選手は「ステロイド検査」に触れたのか

緊張が走ったのは、ミックスの印象を問われた場面だった。

「寝技が本当に強い印象があります」

そう前置きした秋元選手は、一呼吸置いて続けた。

「あと一つ言いたいのは、ステロイドだけちゃんと検査してほしいですね」

2024年、ミックスはBellatorでの試合後にドーピング検査陽性となり、勝利が取り消された過去がある。
名指しは避けられたものの、その背景を知らぬ者はいなかった。

この発言は単なる挑発だったのか。
それとも、若い世代から競技全体に向けられた制度への問いだったのか。

 

▪️ミックスの即答「その意味が分からない」

沈黙はなかった。
ミックスは苦笑を浮かべつつ、即座に否定する。

「今はまったくそういうことはない。その発言の根拠や意味が分からない」

そして、フェザー級転向の理由を改めて説明しながら、こう言い切った。

「145ポンドの方が、自分はベストを出せる。秋元は、今まで体験したことのないエネルギーとレベルの相手と戦うことになる」

元王者としての矜持と、若者への“現実”の提示。
そこに動揺は見られなかった。

 

▪️元谷友貴選手という“共通項”が示す評価のズレ

議論は、両者に共通する対戦相手・元谷友貴選手へと及ぶ。
ミックスは過去、元谷選手を80秒・ギロチンチョークで下している。

「秋元に唯一勝っている選手を、自分は短時間でフィニッシュしている。
そこに大きな差がある」

だが、秋元選手は怯まない。

「一昨年の大晦日の自分の実力では、元谷選手に勝てなかった。でも今は違う。
必ずKOして、世界に名前を上げたい」

10代の成長速度は、時に常識を置き去りにする。
2024年末から2025年後半にかけて見せた異常とも言える進化は、秋元選手の“底知れなさ”を物語っているだけに、今回のミックスを相手に、どこまでに戦えるのかは・・世界水準の今を知るのに、これほどに打ってつけの選手はいない。

 

▪️若さは無謀か、それとも革新か

問題提起と反論。
この一連のやり取りが示したのは、単なる因縁ではない。

若い世代が、競技の透明性や公平性に言及する時代。
実績ある者が、その発言を真正面から受け止め、言葉で応じる構図。

10代最後の日に頂点を狙う若武者か。
世界を知る元王者が、貫禄を示すのか。