有村架純さんが選んだ母役・・・実在事件に着想を得た映画が突きつける、追い詰められた女性の選択

2026.1.29

 

【@2026マジカル・シークレット・ツアー制作委員会】

女優の有村架純さんが、キャリアの転換点とも言える役柄に挑む。

6月19日公開の映画『マジカル・シークレット・ツアー』で演じるのは、2人の子どもを育てる母親。意外性があるのは、その“肩書き”ではなく、置かれる状況だ。

夫の横領事件と解雇によって家計は崩壊し、多額の借金を背負う。

守るべき家族がいるからこそ、選択肢は急速に狭められていく。

本作は、実在の金密輸事件を着想源としたオリジナル作品だ。

天野千尋監督が2017年、育児に追われる日々の中で目にした「金塊を下着に隠して密輸した主婦5人が逮捕」というニュースが企画の出発点だったという。特別な犯罪者ではない“どこにでもいる女性”が、なぜ一線を越えてしまったのか。

その問いは、個人の資質よりも、社会構造へと向けられている。


 

有村さんが演じる主人公・和歌子もまた、決して例外的な存在ではない。

努力や誠実さとは無関係に、生活が破綻する瞬間は訪れる。

母親であることが、彼女を強くも弱くもする。子どもを守るために犯罪に手を染めるという矛盾を、有村さんは感情を誇張することなく、抑制された演技で積み上げていく。

共演には黒木華さん、南沙良さんという実力派が顔をそろえる。

借金600万円を抱える研究員、貯金ゼロの未婚妊婦と、それぞれが経済的・社会的に脆弱な立場に置かれた女性たちだ。物語の舞台の一部となるシンガポールでは大規模ロケが行われ、異国という非日常が、彼女たちの孤立をより鮮明に浮かび上がらせる。

解禁された劇中写真では、有村さんが赤ん坊を腕に抱く姿が印象的だ。

彼女は撮影を振り返り、「監督をはじめ、みなさんとこの物語の行く末を祈りながら撮影しました。彼女たちの愛おしく、懸命な生き様をぜひ、のぞいてみてください」とコメントしている。この言葉は、母親役への挑戦という個人的なテーマを超え、作品全体が持つ切実さを端的に表している。

『マジカル・シークレット・ツアー』が描くのは、善悪の単純な二項対立ではない。

追い詰められた個人が、社会の歪みの中でどのような決断を迫られるのか。

日本社会における現実を、観る側に静かに突きつける。