NBAドイツのベルリンでの試合で沸いた夜―地元バグナー兄弟の凱旋と、ブラックの“4人抜きダンク”が試合を決めた
【©️Orlando Magic 】
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▪️マジック、地元ドイツで意地の逆転勝利「感謝しかない」
現地1月15日、ドイツ・ベルリンのウーバー・アリーナで行われた海外遠征マッチでマジック対グリズリーズの一戦は、単なる海外開催ゲームの枠を超え、NBAとドイツバスケットボールの特別な交差点となった。主役となったのは、地元ベルリン出身のフランツ&モリッツ・バグナー兄弟、そして勝負どころで会場を震撼させたアンソニー・ブラックの一撃だった。
選手入場の瞬間から、アリーナは完全にマジックのホーム。
バグナー兄弟が姿を現すたびに地鳴りのような歓声が起こり、ヘッドコーチのジャマール・モズリーが「期待をはるかに超えていた。まるで本拠地だった」と振り返るほどの異様な熱気に包まれた。
だが、その高揚は序盤、重圧へと姿を変える。マジックは第1クォーターで23―39と大きくリードを許し、試合は一方的な展開になるかと思われた。それでも第2クォーター後半から粘り強く流れを引き戻し、第3クォーターにはついに逆転。勝負は終盤までもつれ込んだ。
緊迫した空気の中、地元の英雄フランツ・バグナーが覚醒する。左足首のケガから約1カ月ぶりの復帰戦で、前半はわずか2得点。しかし第4クォーターだけで13得点を叩き出し、攻撃の軸としてチームをけん引した。
そして、この試合を象徴する瞬間が訪れる。
同点で迎えた残り2分半―アンソニー・ブラックがボールを持つと、ペイント内には4人のディフェンダーが壁のように立ちはだかった。誰もがキックアウトかパスを予想したその刹那、ブラックは一瞬の隙を突き、身体をねじ込むように踏み込み、4人のブロックを掻い潜って豪快なダンクを叩き込んだ。
ベルリンの観客が一斉に立ち上がる。
理屈を超えた勇気と判断力、そして身体能力が結実したこのプレーが、試合の流れを完全にマジックへと引き寄せた。勢いに乗ったマジックはそのまま突き放し、118―111で価値ある勝利を手にした。
試合後、フランツは静かに語った。
「ケガから復帰するだけでも簡単じゃなかったし、地元での試合は気持ちの面でも難しかった。でも、コートに立つ以上は言い訳はしない。最後に決められて良かった」
スタンドには両親や友人の姿もあったという。
「正直、楽しむ余裕はなかったけど(笑)、特別な場所で勝てたことは忘れられない」
一方、モリッツ・バグナーにとってもこの一戦は特別だった。左膝前十字靭帯断裂という大ケガから復帰して間もない中、限られた14分の出場ながら、ベルリンのコートに立った意味は計り知れない。
「この状況が健康にいいかは分からないけどね(笑)」と冗談を交えつつ、「NBAを代表して、満員のベルリンでプレーできた。それだけで感謝しかない」と語った。
かつて客席からNBAを見上げていた少年たちが、今は主役としてコートに立つ。
その物語を締めくくったのは、4人の守備をねじ伏せた一本のダンクだった。ベルリンの夜は、NBAの迫力と夢を確かに刻み込んだ。

