“証明は終わった”クロフォード、無敗のまま幕引き 史上初の偉業を携えリングに別れ

2025.12.17

【from Terence Crawford Instagram】

プロボクシング界に一つの時代の終焉が訪れた。世界5階級制覇を成し遂げ、史上初めて3階級で4団体統一を果たしたテレンス・クロフォード(38=米国)が16日、現役引退を表明した。通算成績は42戦全勝(31KO)。最後まで敗北を知らぬまま、静かにリングを去る。


 

クロフォードは自身のSNSで

「もはや何も証明する必要のない、偉大な選手として去って行く」と投稿。YouTubeチャンネルでも「このスポーツに全てを捧げた。今後のことはもう決めている。そして今、その時が来た」

と語り、感謝の言葉とともに引退を宣言した。

 

キャリアの最終章を象徴するのが、9月に米ラスベガスで行われた一戦だ。2階級上の世界スーパーミドル級4団体統一王者サウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)に挑み、巧みなアウトボクシングで主導権を掌握。判定3―0で快勝し、5階級制覇を完成させた。この勝利により、ライト級、スーパーライト級、ウエルター級に続き、史上初となる3階級での4団体統一という前人未到の領域に到達した。

 

その実績は数字以上に重い。

圧倒的な試合内容と適応力の高さで、階級やスタイルの違いを超えて頂点に立ち続け、米専門誌『リング』のパウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキングでも1位に返り咲いた。時代を代表する王者であり、同時に「最強論争」の中心に常に名を連ねた存在だった。

一方で、引退直前には王座を巡る騒動も起きた。WBCは今月、タイトル認定料の未払いを理由にクロフォードのスーパーミドル級王座を剥奪。これに対し本人はSNS上で強く反発し、WBCの対応を厳しく批判していた。だが、その是非を巡る議論も、無敗のまま積み上げたキャリアの価値を揺るがすものではない。