ディズニーがオープンAIに1550億円出資 Soraで自社キャラクター解禁─エンタメ産業の主導権争い、次の局面へ
米ウォルト・ディズニーが、生成AI分野の中心企業であるオープンAIへ10億ドル(約1550億円)を投入する。加えて、動画生成モデル「Sora(ソラ)」でのディズニーキャラクター使用を公式に認めるライセンス契約も締結した。
エンターテインメント業界の巨人が自ら“AI時代の主導権争い”に踏み込んだ格好だ。
今回の契約は、Soraにとって初の大規模ライセンス案件となる。
ユーザーはミッキーマウスやミニーマウスをはじめ、
『アナと雪の女王』『トイ・ストーリー』、
『リトル・マーメイド』など、200体超のキャラクターを用いて
動画制作が可能になる。
ChatGPTでの画像生成においても同様の利用が解禁される。
■ ディズニーの狙いは「クリエイター保護」か「AI市場の囲い込み」か
発表に際し、ロバート・A・アイガーCEOは「急速に進化するAIは、我々の業界にとって重大な節目にある」と強調し、「クリエイターの尊重と保護を前提に、責任あるかたちでストーリーテリングを拡張する」と説明した。
しかし同時に、同社は契約を“部分的に独占的”と表現。3年間は独占権が含まれるとも示唆しており、生成AIの映像市場におけるポジション確保を狙うディズニーの思惑もうかがえる。
■ Soraとの提携がもたらすインパクト
オープンAIのサム・アルトマンCEOは、「ディズニーはストーリーテリングの世界的象徴」と述べ、今回の契約が“AIとクリエイティブ産業の協業モデルの指針になる”と発言。
AI企業にとってエンタメ大手との正式ライセンスは、これまで曖昧だった著作権問題に対する一つの回答でもある。
■ クリエイターの不安に、アイガー氏が直接反論
AIの導入は、従来からアーティストや制作現場の不安を招いてきた。これに対しアイガー氏はCNBCの取材で「脅威ではない」と断言。「ライセンス料の発生を含め、クリエイターは十分尊重されている」と説明した。
【 既に実装済みか!? bit.comの投稿画像より】
■ AI×キャラクターIP、世界最大級の“実証実験”
今回の合意は、キャラクターIPを核とするディズニーにとっても、
AI映像生成にとっても、規模の大きい転換点となる。
AIがディズニーの巨大IPをどう拡張し、
逆にディズニーがAI市場をどう誘導するのか─。
3年間の独占契約は、世界のエンタメ産業における
AI活用と権利管理のモデルケースになる可能性が高い。


