UFC 想定外の王座移動“悪夢の着地”がフライ級戦線を激変 ジョシュア・ヴァンがミャンマー初のUFC王者に
【©️UFC】
UFC323のフライ級タイトルマッチは、誰も予想できなかった瞬間によって歴史のページを塗り替えることとなった。王者アレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル)が試合開始直後に左腕を負傷し、ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)がまさかの形で新王者に輝いた。
■ 開始数十秒 “一撃”ではなく“着地”が勝敗を分けた
ラスベガスのT-モバイル・アリーナ。超満員の観衆が固唾をのんで見守る中、試合は1R早々から動いた。
パントージャが放った右ハイキックをヴァンが冷静にキャッチ。突き放された王者は左手をつきながらバランスを立て直そうとしたが、その瞬間、腕はあり得ない方向へと曲がり、王者の表情が一変した。
攻防の末のKOでも一本でもない。“着地の一瞬”がタイトルの行方を決めてしまったのだ。
レフェリーは即座に試合をストップ。
会場には驚きのどよめきが走り、ヴァンは実質的な攻撃を出さずにフライ級の頂点へ。
だがその勝利を「偶然」で片づけてしまうのは早計だ。
■ 鶴屋選手を撃破した実績が示す、ヴァンは“本物”の強豪
ヴァンはこれまでに鶴屋怜選手を破るなど、急速に頭角を現してきた実力者。
若手筆頭株として評価されてきた鶴屋選手に土をつけた試合は、
単なる番狂わせではなく、ヴァンの総合力と
強靭なメンタルを示す象徴的な勝利でもある。
今回の戴冠劇こそアクシデント絡みだが、
「誰が相手でも動じない冷静さ」
「相手の土俵でもフィジカル力で対応」
が備わっているのはすでに証明済みで、
王座獲得はむしろ“時間の問題”と見る関係者も少なくない。
一方のパントージャは、まさかの負傷で王座陥落という無念の結末に。
復帰時期は不透明で、フライ級戦線は一気に混迷を深める可能性が高い。
そして、前回大会(ドバイ)でパントージャに対して対戦要求を打診・表明した同階級で活動を再開した堀口恭二選手の存在も忘れてならない。
■ ケージサイドの平良達郎選手も衝撃
ケージサイドでは次期挑戦者候補・平良達郎選手が険しい表情でこの一部始終を見届けた。
本来なら王者パントージャとの頂上決戦が期待されていたが、状況は一夜にして激変。新王者ヴァンを中心に、階級全体に新たな緊張感が走り始めている。

