体重超過から一転、ライト級決戦へ─混乱の現場で光ったフォスターの冷静さとプロ意識
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米テキサス州サンアントニオで6日(日本時間7日)に行われた一戦は、
ボクシング界でも類を見ない急転直下の展開となった。
本来はWBC世界スーパーフェザー級の防衛戦として組まれていたカードが、
スティーブン・フルトン(米国)の体重超過によって
急遽“ライト級暫定王座決定戦”へと変更。
混乱の最中で迎えた試合だったが、
オシャキー・フォスター(米国)が動じることなく
3-0の判定勝ちを収め、存在感を示した。
■ 混乱を飲み込んだフォスター、流れるようなジャブで主導権
開始のゴングからペースを握ったのはフォスターだった。
鋭いジャブとストレートを丁寧に打ち分け、階級の揺らぎによる不測の状況もものともせず冷静に試合を進めた。フルトンも巻き返しを狙ったが、有効打を重ねられず苦しい展開のまま12ラウンドを終了。
判定の末、3者ジャッジがすべてフォスターに傾き、堂々たる完勝劇となった。
■ 異例の“階級変更”試合 WBCの迅速な判断が興行を成立させる
今回の騒動の発端は、前日計量でフルトンが132ポンド(約59.8キロ)を計測し、スーパーフェザー級(130ポンドリミット)を2ポンド超過したことにある。
通常であれば試合の中止や王座剥奪が議論される場面だが、WBCは即日協議を行い、1階級上のライト級暫定王座決定戦として試合実施を承認。
これにより興行の中止という最悪の事態は回避され、ファンが待ち望んだ一戦は形を変えて実現した。
■ 批判はあれど…“イベントを成立させた”という別の評価
米国内では一部ジャーナリストがXで不満の声を上げたものの、選手や関係者が最終的にリングに立ち、観客の前で試合を成立させた事実は評価すべき点だろう。
世界的にも珍しい対応ではあるが、主催者側の判断が興行の継続につながったことは確かだ。
■ フルトンは井上尚弥戦で日本でもおなじみ 階級上げの挑戦は実らず
フルトンは、日本では井上尚弥(大橋)との対戦で強い印象を残した選手だ。
今年2月にはブランドン・フィゲロアに勝利しWBC世界フェザー級王座を獲得。
今回の試合はさらに階級を上げての挑戦という新たなステージだったが、計量の壁に阻まれる形で、パワーとフィジカルの部分で課題が浮き彫りとなった。

