張本智和選手、決勝あと一歩届かず 妹・美和選手が兄の雪辱果たす 兄妹で世界を沸かせたロンドンの6日間

【©️World Table Tennis】
ロンドンの会場が、再び「張本兄妹」の名前で沸いた。
男子シングルス決勝では、世界ランク4位の張本智和選手(22=トヨタ自動車)が
ドイツのチウ・ダン(同14位)に2―4
(11―13、10―12、12―14、11―9、11―7、10―12)で惜敗。
わずかの差で頂点を逃した。
一方、同じ舞台の女子シングルス決勝では、
妹・張本美和選手(16=木下グループ)が
早田ひな選手(日本生命)とのフルゲームを制し優勝。
兄妹で同日決勝進出という日本卓球史上でも稀な快挙を成し遂げ、
兄の悔しさを晴らすかのようにトロフィーを掲げた。

■ 兄・智和、あと一本が遠かった決勝
智和は序盤から、チウ・ダンの裏面バックハンドと速い打点のカウンターに押される苦しい展開。それでも強烈なフォアドライブで巻き返し、2ゲームを奪い返して試合をフルセット目前まで持ち込んだ。
第6ゲームは一時リードを奪うも、ストップ合戦からリズムを崩し連続失点。最後はチウの連打に押し切られ、惜しくも準優勝に終わった。
それでも観客席からは「ハリモト!」の声援と拍手が鳴り止まなかった。
試合後、張本は「チャンスを決め切れなかったのが課題。
でも、今の自分を出し切れた」と前を向いた。

■ 妹・美和、兄の前で見せた“勝ちきる力”
その約1時間後、妹・美和が兄の悔しさを背負って卓球台に立った。
第1、第2ゲームを落とす苦しい展開も、第3ゲームからバックハンドラリーで流れをつかみ、粘り強く逆転。最終ゲームを制して4―3で早田ひなにリベンジを果たした。
「兄の試合を見て、自分も最後まであきらめない気持ちをもらいました」――優勝後のインタビューで美和はそう語った。
4月のチュニス大会決勝で勝ち、8月の横浜大会では敗れた
宿敵・早田選手との3度目の対戦を制し、今季5勝目を挙げた。
■ “兄妹二人三脚”で歩む世界の舞台
兄の智和は22歳で世界トップ4。
妹の美和は16歳で世界トップ10入り。
2人が同じ国際大会で決勝にそろうのはこれが2度目。兄妹で切磋琢磨しながら歩む姿は、世界の卓球界でも特別な存在となっている。
智和は「妹の優勝が本当にうれしい。自分も負けていられない」と語り、美和は「次は2人で一緒に表彰台の真ん中に立ちたい」と笑顔を見せた。
張本家が見せたロンドンでの熱戦は、卓球界に新たな物語を刻んだ。
次なる舞台は11月のWTTフランクフルト。
兄妹での“同時V”という夢の続きが、再びヨーロッパで描かれる。
