元RISE王者でK-1でも活躍の左右田泰臣選手が37歳で日本王座戴冠 キック出身者が席巻するSウエルター級の新潮流

2026.3.12

プロボクシング日本スーパーウエルター級タイトルマッチが3月10日、東京・後楽園ホールで行われ、元キックボクシング王者の左右田泰臣(EBISU K’s BOX)が王者・神風藍(RK蒲田)に判定勝ち。37歳のベテランが2度目の挑戦で悲願の日本王座をつかんだ。キックボクシングから転向したファイターが存在感を強める同階級において、新たな勢力図を象徴する一戦となった。


 

▪️37歳の挑戦、2度目でつかんだ日本王座

プロボクシングの日本スーパーウエルター級タイトルマッチ(10回戦)が

10日、東京・後楽園ホールで開催された。
同級1位の左右田泰臣選手(37)=EBISU K’s BOX=が、

初防衛戦に臨んだ王者・神風藍選手(31)=RK蒲田=を相手に

3―0の判定で下し、日本王座を獲得した。

試合は序盤から左右田選手が主導権を握った。
左ジャブと右ストレートを軸に距離をコントロールし、リズムを作る。

5回終了後の公開採点は47―48、48―47、49―46とジャッジの評価は割れたものの、総体として左右田がリードする展開となった。

後半に入ると、神風選手が接近戦を仕掛けて反撃を試みる。

しかし左右田選手は冷静だった。

7回には鋭い右ストレートをヒットさせるなど流れを渡さず、

試合終了まで主導権を維持。

最終的にジャッジ3者全員が97―93で左右田選手を支持し、挑戦者の完勝となった。

 

▪️涙の戴冠「チャンピオンにしてくれてありがとう」

勝利が告げられた瞬間、左右田選手は感情を抑えきれなかった。
リング上で所属ジムの加山利治会長に向かい、

「勝たせてくれて、チャンピオンにしてくれてありがとうございました」

と感謝の言葉を述べ、目に涙を浮かべた。

加山会長もまた「なるべく早くチャンスを与えたいと思いながらやってきた。2度目の挑戦で結果を出してくれて良かった」と笑顔を見せ、弟子の戴冠を喜んだ。

神風選手とは過去に何度もスパーリングを重ねてきた関係でもある。
左右田選手は「今度は僕が王者として迎え撃ちたい。僕に勝てるように練習してきてください」と言葉を送り、互いに高め合う関係の継続を誓った。

 

▪️キック出身王者”が並ぶスーパーウエルター級

この階級の特徴は、キックボクシング出身者の活躍だ。

リングサイドで観戦していた東洋太平洋スーパーウエルター級王者・緑川創選手も元キックボクサー。さらにWBOアジア・パシフィック同級王者の豊嶋亮太選手も同じくキック出身である。

今回の左右田選手の戴冠により、主要地域王座の保持者はいずれも元キックボクサーという構図となった。
キックボクシングで培った打撃感覚とフィジカルを武器に、ボクシング界で新たな勢力を築きつつある。

左右田選手自身も「緑川選手と一緒にスーパーウエルター級を盛り上げていきたい」と語り、階級全体の発展を視野に入れている。

 

▪️RISE王者からボクシング王者へ

左右田選手のキャリアは異色だ。

2009年にキックボクシング団体RISEでプロデビュー。
2013年にはスーパーライト級王座を獲得し、トップファイターとして活躍した。

2014年からはK-1にも参戦するなど第一線で戦ったが、

2019年8月の試合を最後に現役引退を一度は表明。

その後、2022年にプロボクシングへ転向。
同年1月にプロテストに合格すると、6月のデビュー戦を2回TKOで飾った。

昨年7月には東洋太平洋スーパーウエルター級王座決定戦に挑戦したが、ワチュク・ナァツに判定負け。今回の日本タイトル戦は再起を懸けた一戦でもあった。

 

▪️「どこまで高められるか」ベテラン王者の挑戦

37歳でつかんだ日本王座。
しかし左右田選手の視線はすでにその先を向いている。

「自分をどこまで高めていけるのか」

ベテラン王者は静かに、次なるステージへの意欲を口にした。
キックボクシングからボクシングへ―異色のキャリアを歩んできた男の挑戦は、まだ終わらない。

なお、この興行は動画配信サービスFODプレミアムで生配信された。
左右田選手の戦績は12戦9勝(5KO)2敗1分け、

神風選手は11戦5勝(1KO)4敗2分けとなった。


【文:高須基一朗】