UFC=平良達郎選手の王者挑戦“内定説”をケイプが暴露 フライ級戦線に走る水面下の駆け引き
フライ級タイトル戦線が、にわかに騒がしくなっている。
総合格闘技の最高峰団体UFCで同級3位につける平良達郎(26)の王座挑戦が“既定路線”だった可能性が浮上した。発端は、同級2位のマネル・ケイプ(32=アンゴラ/ポルトガル)が自身のXで投じた一文だ。
ケイプは一部メディアが報じた「3月7日のUFC326で王者ジョシュア・ヴァン(24=ミャンマー)とケイプが対戦する」との見通しを引用し、「フェイクニュースだ」と一蹴。
そのうえで、より衝撃的な内幕を明かした。
「UFCによると、ブランドン・ロイバルを倒した時点で、平良達郎にタイトル挑戦権を与えることが既に約束されていたらしい」
真偽は確認されていない。
しかし、この発言はフライ級戦線の力学を一変させる重みを持つ。
▪️ロイバル戦の“意味”と、平良という存在
ケイプが言及したブランドン・ロイバル戦とは、昨年12月に行われた上位対決を指す。ロイバルは長らくトップ戦線に位置する実力者であり、その撃破はタイトル戦線への直行切符と同義とみなされてきた。
その勝利の先に“約束されていた”のが平良選手への挑戦権——。
平良選手は無敗のままUFCで快進撃を続ける新鋭であり、アジア市場を象徴する存在でもある。完成度の高いグラップリングと冷静な試合運びは、単なる有望株の域を超えつつある。ランキング上位を撃破してきた実績、そして年齢的な将来性を考えれば、団体が王座挑戦に踏み切る合理性は十分にある。
UFCは常に「実力」と「市場価値」の交点でマッチメイクを行う団体だ。
平良選手という素材は、その両面を満たす数少ない存在でもある。
▪️ケイプの誤算と、短すぎた準備期間
一方のケイプは、自らがヴァンとの王座戦を実現させるべく動いていたと主張する。
「俺はすでに減量に入っていた。月曜の時点で144ポンド(約65.3キロ)まで落としていた」
だが最終的にUFCは「準備期間が短すぎる」として3月7日の試合を見送ったという。ここに、トップ戦線特有の不透明さがにじむ。交渉は水面下で進み、最終決定は常に団体側が握る。選手は“可能性が高い”という言葉を頼りに減量を始め、コンディションを作り込む。
それでもカードは、最後の瞬間に動く。
ケイプの投稿は、怒りというよりも諦観に近い。
「忍耐強さに関しては俺は達人レベルだ」と締めくくった言葉には、トップ戦線で生き抜く者の矜持がにじむ。
▪️現王者ヴァンと フライ級の地政学
王者ジョシュア・ヴァンは、ミャンマー出身というバックボーンも含めて国際的な注目を集める存在だ。軽量級のスピードと爆発力を体現するファイターであり、対戦相手の選定はフライ級の勢力図を左右する。
仮に平良選手に先の挑戦が正式決定すれば、日本人としては久々のタイトル戦線で本格参入となる。UFCにとって日本市場は、重要な柱だったが、近年は停滞が続いていた。平良選手が王座に届くか否かは、その再興の試金石にもなり得る。
▪️問われるのは「順番」か「物語」か
今回の騒動が示すのは、ランキングの“順番”と団体が描く“物語”のせめぎ合いだ。
ケイプは2位、平良選手は3位。単純な序列だけを見れば、ケイプ優先が自然にも映る。しかし、無敗の新星というストーリー性、市場への波及効果、将来性—それらが複合的に作用するのがUFCのマッチメイクだ。
平良達郎選手のタイトル挑戦権は本当に内定しているのか。
ケイプの発言は事実なのか。それとも交渉戦略の一環なのか。

