K-1のリングに立つ王者・石井一成選手は、この日もまた「勝ち方」を知る男であることを証明してみせた。

2026.2.8

2月8日、東京・代々木競技場第二体育館。『K-1 WORLD GP 2026 ~-90kg世界最強決定トーナメント~』のリングで行われたK-1 WORLD GPバンタム級タイトルマッチは、派手なノックアウトではなく、緻密な技術と判断力が勝敗を分ける一戦となった。


 

王者・石井一成選手に挑んだのは、中国からやってきた20歳の新鋭ジャン・ジンホイ。20戦17勝(8KO)という数字が示す通り、勢いと破壊力を兼ね備えた存在だ。2025年中国ムエタイ選手権王者という肩書を引っ提げ、K-1初参戦にしていきなり王座挑戦という異例の抜擢。その期待値は決して小さくなかった。

しかし、試合が始まると、両者の「経験値の差」が徐々に浮かび上がっていく。

前後に軽快なステップを刻み、ワンツーで飛び込むジャンに対し、石井は焦らない。序盤から右カーフを丁寧に打ち込み、相手の動きを削っていく。

ジャンがコンパクトな右ストレートで顔面を捉える場面も幾度かあったが、

石井選手はすぐに距離を立て直し、カウンターの右フックで応戦。

攻防は拮抗しながらも、試合の主導権は静かに王者の手中へと移っていった。

 

勝負が大きく傾いたのは最終3ラウンドだった。

体力がなくなり、キレがなくなり大振りのパンチで前に出るジャンに対し、石井選手は打ち終わりを逃さず、上下に打ち分けていく。

右カーフ、左ボディを正確に合わせ、終盤にはロープを背負わせて連打とヒザ蹴りで圧力をかけ続けた。若き挑戦者のタフさは際立っていたが、王者の試合運びを崩すには至らなかった。

判定は3-0。

スコア以上に内容で差を見せた石井選手の完勝だった。

ムエタイとK-1、二つの舞台を行き来しながら磨いてきた技術と冷静さ。昨年11月、3度目の挑戦でつかんだ王座は、決してまぐれではない。初防衛戦で示したのは、王者としての“安定感”そのものだった。

派手さよりも確実性。石井一成選手は

この日、K-1バンタム級の現在地を、はっきりと示してみせた。