本物の衝撃を知った夜―朝倉未来選手が背負った“恐怖”と、その先にある再起
大みそかのさいたまスーパーアリーナを包んだのは、静まり返るほどの衝撃だった。
格闘技イベント「RIZIN 師走の超強者祭り」で行われたフェザー級タイトルマッチ。
挑戦者・朝倉未来選手は、王者ラジャブアリ・シェイドゥラエフの
圧倒的なパワーの前に 1回2分54秒TKO負けを喫した。
だが、この一戦を単なる「完敗」で片付けるのは早計だ。
朝倉未来選手は、これまで数多くの修羅場をくぐり抜けてきたトップファイターだ。
その彼が、リング上で初めてと言っていいほど“本物の破壊力”を全身で受け止めた。豪快なテイクダウン、上から落ちてくる重く鋭い拳。
ガードの隙間を突き抜けてくる一発一発は、肉体だけでなく、闘争本能の奥深くにまで恐怖を植え付けた。
だからこそ、この敗戦は重い。
試合後、朝倉は意識がもうろうとした状態で担架に乗せられ、救急搬送された。
予定されていた記者会見は中止。
壮絶な代償を物語る光景だった。
その後、1月1日に更新された自身のSNSで、朝倉未来選手は
「眼窩底骨折があるけど他は大丈夫そう」と痛々しい現状を報告。
それでも、「やることやってきたので後悔はない」「また頑張ります」と、
すでに前を向く言葉を残している。
大会後、榊原信行CEOも朝倉未来選手の去就について
「引退はかけていないと思う」と明言した。
結果を受けた心境の変化や、フィジカルの回復を見極める必要はあるとしながらも、「この試合を引退試合にするつもりではなかった」という見方を示している。
注目すべきは、ここからだ。
朝倉未来選手というファイターは、敗北や恐怖を“終わり”として扱わない。
むしろ、それを徹底的に分析し、自身の判断材料として咀嚼し、
次の一手へと変換してきた男である。
今回、脳裏に刻まれた「通用しなかった瞬間」「効かされた感覚」「恐怖を感じた距離」は、彼にとって極めて明確な答えだ。
そして、その答えを放置する性格ではない。
肉体の回復を待ち、必要な修正を施し、再びリングに戻ってくる―。
それを“すぐにやってくれる”と信じさせるだけの
実績と覚悟が、朝倉未来選手にはある。
敗戦は、終章ではない。
本物のハードパンチを知ったからこそ、
次の朝倉未来選手は、より冷静で、より現実的で、
より強い姿で帰ってくる可能性を秘めている。

