井上尚弥選手、成熟の境地で迎えるサウジ防衛戦 過密日程を力に変える王者の現在地

2025.12.13

【©️KYODO】

4団体統一世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥選手(32=大橋)が、

27日にサウジアラビア・リヤドで行われる防衛戦に向け、万全の調整を進めている。


 

対戦相手はWBC同級2位アラン・ピカソ(25=メキシコ)。

キャリア初となる中東のリングに立つ王者は、

これまで積み重ねてきた経験と自信を静かににじませている。

13日、横浜市内の所属ジムで公開された練習では、シャドーボクシング、弟・拓真とのマスボクシング、ミット打ちを各1ラウンドずつ実施。

動きは滑らかで、コンディションの高さを感じさせる内容だった。「この時期は精神的にも肉体的にも仕上がっている」と語る表情には、王者としての安定感が漂う。

最終調整は現地サウジアラビアで行う予定だが、井上はそれを前向きな挑戦として受け止めている。「初めての地で戦える新鮮さがある。早く行きたい」と語る言葉からは、新たな舞台を楽しみにする余裕すら感じられる。

今季は年間4試合というタフな日程をこなしてきたが、井上尚弥選手にとって、

それは負担ではなく、成長のプロセスだ。

「戦うことが好き。感覚を空けずに、この緊張感の中で過ごせることが心地よい」と語り、試合を重ねることで研ぎ澄まされていく感覚を実感している。

 ピカソとの一戦に向けては、距離感を重視した戦略を描く。

「自分の距離でも、相手の距離でも戦える準備をしている。打ち合うのではなく、メリハリよく戦いたい」。

爆発力に頼るのではなく、試合全体を支配するボクシングを選択できるのは、

円熟期に差しかかった王者ならではと言える。