佐藤二朗さんの怪演が観客を圧倒 映画『爆弾』公開4日で5億円突破の快進撃

【©呉勝浩/講談社 ©2025映画『爆弾』製作委員会】
俳優・佐藤二朗さんの“怪演”が話題を呼んでいる。山田裕貴さん主演の映画『爆弾』(永井聡監督、東宝配給)が10月31日に公開され、観客動員37万9,013人、
11月6日現在で報じられている正式な最新情報で興行収入5億2,045万円を記録している。

サスペンス作品としては異例の好スタートで、SNSや映画レビューサイトでは
「ゾクゾクが止まらない」
「佐藤二朗の底なしの表現力」といった絶賛の声が相次いでいる。
原作は呉勝浩氏の同名小説。
都内で連続爆破事件が発生し、警察に連行された謎の男・スズキタゴサクが、事件の全貌を狂気的なまでに見透かすように語り出す―という緊迫感あふれるストーリーだ。
事件の謎を追う刑事・類家(山田裕貴)、清宮(渡部篤郎)、等々力(染谷将太)らが翻弄されるなか、観客の視線を奪うのは、正体不明の男・タゴサクを演じる佐藤二朗さんである。
佐藤二郎さんは、名前以外の記憶を失いながらも爆破予告を繰り返す異様な人物を、常軌を逸した静けさと不気味なユーモアで表現。
台詞の間合い、視線の動き、声の揺れに至るまで計算され尽くした演技で、観る者を圧倒している。劇中で刑事たちが次第に追い詰められていく構図そのままに、観客自身も“タゴサクの掌の上”に転がされる感覚を覚える。
これまでコメディ作品でインパクトを残す演技力で知られてきた佐藤二郎さんだが、
『さがす』(2021年)や『あんのこと』(2023年)など、
重厚な人間ドラマでの演技でも高く評価されてきた。
本作では、その役どころの振り幅を極限まで広げ、
人間の“狂気”と“哀しみ”を同時に内包する存在を体現。
配給関係者によると、観客の年齢層は幅広くリピーターも増加傾向にあるという。
SNSでの口コミ効果で高評価が続く中で、
今週末以降も高水準の動員が見込まれる可能性は高い。
この数字の伸び上りだと興行収入20億円超えも視野に入るとしており、
今後の伸びにも期待が集まる。
永井監督は「佐藤さんの存在が、脚本の余白を埋め尽くした。彼が“タゴサク”を生きたことで、作品そのものが変わった」と語る。
【文:高須基一朗】
