【ウインターカップ福岡予選】“絶対王者”ではなく“挑戦者”として 福岡第一が涙の王座奪還「伝説を作ってやろう」の誓い・・・奇跡の再生劇

2025.11.4

敗北を知る者の顔に、再び勝者の光が戻った。
11月3日、アクシオン福岡で行われた『ウインターカップ福岡県予選』決勝。
夏のインターハイ予選で涙をのんだ福岡第一が、

再戦となった福岡大学附属大濠を80-70で下し、王座を奪還した。

主力センターのシー・ムサを欠いたチームには、誰もが苦戦を予想した。
しかし、井手口孝監督がミーティングで放った言葉が全てを変えた。
――「伝説を作ってやろう」
その一言が、選手たちの心に火をつけた。


▪️苦境を力に変えた“新生・福岡第一”

序盤、福岡第一は1年生のバ・イブラヒマ・ハリルをスタートに抜擢。
経験不足を補うのは、全員のディフェンス意識だった。
白谷柱誠ジャックを徹底的に止め、流れをつかむと、バと佐藤怜音の3ポイントが火を吹く。
第1クォーターで18-12とリードを奪うと、会場の空気が一変した。

「誰かが欠けても、俺たちは“チーム”で戦える」
キャプテンの宮本聡は、試合中に仲間へそう声をかけ続けたという。
宮本はこの日23得点を記録。得点だけでなく、冷静なゲームメイクで大濠のディフェンスを翻弄した。
アウトサイドに意識が寄った瞬間を見逃さず、インサイドの藤田悠暉やバに的確なパスを通す――
まるで、チーム全体を導く“舵取り役”のような存在だった。

▪️残り3分、揺れる試合。最後に光った“魂のスティール”

第4クォーター、福岡第一が2桁リードを保つも、大濠が意地の追い上げ。
点差は一時8点に迫り、会場には緊張が走る。
しかしその瞬間、宮本(聡)が相手のパスを読み切りスティール。
自ら持ち込みシュートを沈め、勝負を決定づけた。
あの一瞬、ベンチからは「これで決まった!」という歓声が上がった。

試合後、井手口監督の目には涙が浮かんでいた。
「主力の3年生がいない中で、“ゲームになるのかな”という不安もあった。でも3年生が、よく頑張ってくれました」
その声は震えていた。