離婚後の共同親権 2026年4月施行へ 制度の“歴史的一歩”も・持続可能性に課題

2025.10.31

政府は31日、離婚後も父母が共同で親権を持つことを可能にする改正民法の施行日を2026年4月1日とする政令を閣議決定した。戦後から続いた「単独親権制度」に終止符を打つ形だが、運用面での混乱や法制度の“一過性”を懸念する声も専門家から上がっている。

 

▪️「共同」か「単独」か――家庭裁判所が子の利益を判断

改正法により、離婚時には父母が協議して「共同親権」または「単独親権」を選択する。話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所が「子の利益」の観点から最終判断を下す。
また、施行前に離婚している場合でも、家庭裁判所の判断が施行日以降であれば、単独親権から共同親権へ変更することができる。

法務省は、共同親権下での「日常の行為」や「急迫の事情」についても整理。学校行事への参加や緊急医療行為などは、片方の親が単独で決定できるとした。ただし、教育方針や居住地変更など、重要な事項については引き続き父母双方の同意が必要とされる。

 

▪️DVや虐待の恐れがある場合は単独親権に限定

改正法では、DV(家庭内暴力)や虐待の恐れがある場合には、共同親権を認めないと明記。父母のいずれかに危険が及ぶ恐れがある場合、家庭裁判所は必ず単独親権を選択しなければならないとした。一方で、父母が対立していても「子の利益」に資すると裁判所が判断すれば、共同親権を認める柔軟な条文構成となっている。

 

▪️新制度「法定養育費」も導入 子ども1人あたり月2万円

同時に新設されるのが「法定養育費制度」だ。離婚時に養育費の取り決めがなくても、養育する親が相手に暫定的な支払いを求められる。法務省案では、子ども1人あたり月2万円が目安額とされ、2026年4月1日から施行予定となっている。

 

▪️一過性の制度改正にならないために

今回の法改正は「親の権利の平等」を進める画期的な一歩と評価される一方、制度が実際に機能するかは未知数だ。
共同親権は理念として「子の最善の利益」を掲げるが、親同士の対立や意見の不一致が続けば、子どもがその狭間で苦しむ可能性もある。さらに、法律上のルールは導入当初こそ注目されるが、運用の難しさから“形骸化”することも少なくない。

専門家の間では、「共同親権は一時的な社会ムードに押された制度改正ではなく、実効性を伴う持続的な法制度として定着させる努力が不可欠」との声が強い。

離婚後も「二人の親である」という理想が、単なるスローガンに終わるか!?

それとも社会に根づくルールとなるのか!?