元ボクシング世界王者チャベス・ジュニア容疑者が米で逮捕 麻薬カルテルとの関与疑い
2025.7.4
米国土安全保障省は3日、元ボクシング世界王者のフリオ・セサール・チャベス・ジュニア容疑者(39)を、カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で逮捕したと発表した。容疑は、組織犯罪への関与や銃器・爆発物の密輸などで、メキシコ当局から国際指名手配を受けていた。
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当局によれば、チャベス容疑者は米国内に不法滞在しており、強制送還の対象となる可能性もあるという。捜査関係者は、同容疑者がメキシコの大規模麻薬組織「シナロア・カルテル」との関係を持っていたとみている。
注目されるのは、チャベス容疑者の妻が、カルテル元最高幹部で「エルチャポ」の異名をとったホアキン・グスマン受刑者の息子と婚姻関係にあったとされる点だ。家族を通じたカルテルとの接点が長年指摘されてきたが、今回の逮捕でその疑いが現実味を帯びてきた。
チャベス容疑者は6月28日、人気ユーチューバーでプロボクサーのジェイク・ポール氏との試合で敗北した直後で、世間の注目を集めていた。父のフリオ・セサール・チャベス氏は、メキシコが誇る伝説的ボクサーで、親子2代にわたり世界王者の栄冠を手にしていた。
米国土安全保障省のマクローリン次官補は声明で「たとえ世界的に有名な人物であっても、法の下では誰もが平等だ。犯罪組織との関係があれば、必ず責任を問う」と強調。一方、容疑者の弁護人は、ロイター通信の取材に「この逮捕は不当でばかげている」と反発している。
名門ボクシング一家に突き付けられた重い疑惑。
スポーツ界のスターが、麻薬カルテルとの癒着という深い闇に足を踏み入れていたとすれば、その波紋はボクシング界にも大きな影響を与えかねない。
【文:高須基一朗】