RISE “格闘界の希望”那須川龍心選手、世界王座奪取へ
恩返しの舞台で見せる覚悟と進化
【©️RISE】
▪️格闘界の新たな希望、那須川龍心が、いよいよ世界の頂に挑む。
6月21日、横浜BUNTAIで開催される「RISE WORLD SERIES 2025 YOKOHAMA」のメインイベントで、那須川はISKA K-1ルール 世界ストロー級(-51.5kg)王座決定戦に臨む。対するは、ISKAフェザー級王者のハマダ・アズマニ(モロッコ)。20日に行われた前日計量では、両者ともに規定体重をクリア。決戦の幕が、静かに上がった。
昨年11月、龍心はRISEフライ級のベルトを圧倒的な1RKOで奪取。今年3月には、兄・天心も苦戦したクマンドーイを劇的なKOで沈め、国内外にその名を轟かせた。輝きはMVPという勲章にも現れ、「RISE’s PRIZE」では年間最優秀選手に選出。若き才能は、すでに一流の領域に足を踏み入れている。
その龍心が挑む今回のISKA王座は、実に12年ぶりに復活する歴史的タイトル。“空白の時代”にピリオドを打つのは誰か。その答えは、もはや明白だ。
「格闘技は自分のためにやっているけれど、皆さんが応援してくれていることが本当に幸せ。自分勝手にやっている分、少しでも恩返しできたらと思っている。明日は自分の全てを見せます」
試合前会見でそう語った龍心の目は澄み切っていた。プレッシャーどころか、どこか少年のような素直さと、獣のような本能が同居する。これこそが那須川龍心の魅力であり、強さの根源だ。
対戦相手のアズマニに対しても、リスペクトを込めた上で冷静に分析。「足が長くて羨ましいけれど、リーチ差もそこまでない。今は特に緊張していない。まるで明日が試合じゃないような感覚」と話すその余裕も、すでに王者の風格を漂わせる。
そして話題は、常に背中で導いてきた兄・天心の存在へ。「どこをもって“天心超え”なのか、正直わからない。でも、強い相手を倒し続ければ、自然とそう言われてくるはず。自分の個性を出して、自分の道を歩いていきたい」
誰かのコピーではなく、自分だけの道を切り開く。その意思が、龍心の闘いに血を通わせている。
明日のリングは、単なる王座決定戦ではない。那須川龍心が、過去と現在、そして未来の那須川家をつなぐ“希望の拳”を放つ瞬間だ。
勝って当然ではない。勝つことで歴史になる。
世界が、那須川龍心という存在を知る夜が、目前に迫っている。
【文:高須基一朗】