2025年の武尊選手の展望・日本格闘技界への貢献

2025.1.4

これまでの、武尊選手とロッタン・ジットムアンノン選手(以下、ロッタン)の試合が、

互いに求めていながら実現できなかった背景には、

武尊vs那須川天心の『THE MATCH』同様に、いくつかの要因がある。

*過去にインタビューをした際の画像

 

  1. プロモーション間の壁

武尊選手は、『K-1』を主戦場としていたために、ロッタン選手はONE Championshipのスター選手。格闘技界では、異なるプロモーション間の対戦交渉は非常に難しい場合が多く、特に『K-1』と他団体の間には契約上やビジネス上の壁が大きく存在。

 

  1. 契約や交渉の複雑さ

両選手が所属する団体は、それぞれ異なる放映権やスポンサー、契約条件を持っているために、これにより、試合を実現させるための交渉が複雑化。どちらの団体が主催するか、ルール設定、試合場所など、多くのポイントで折り合いがつかなかった可能性は高いと推察。

 

  1. 体重差やルールの問題

武尊選手はK-1で活躍するキックボクサーであり、ロッタン選手はムエタイを主戦場試合が実現する場合、どのルールで行うのか(キックボクシング、ムエタイ、ハイブリッドルールなど)や、体重制限に関しても課題が残っていた点。

どちらかが妥協しないといけない点が多かった。

 

  1. スケジュールの問題

両選手のスケジュール調整や、団体のビック・イベントのタイミングの関係で実現が難しかった可能性も高い。

 

  1. 武尊選手の活動状況

武尊選手は2022年6月の那須川天心選手との「THE MATCH 2022」後、K-1との継続契約の事や、敗戦によるコンディション調整のため活動を制限。

このため、他の試合交渉が進まなかった可能性があった点。

 

  1. 団体間の競争と利害の衝突

『K-1』とONE Championshipは、それぞれ自分たちのビジネス・モデルを守る必要があり、選手の価値や利益分配について意見が対立していた点も大きかった。

この試合が実現していれば、キックボクシング界とムエタイ界の異なるスタイルを代表するエキサイティングなファンが喜ぶ世紀の一戦となる。

 

この6点を背景に置きつつ、

武尊選手選手は、ONEへの移籍を決意。

 

2024年1月28日に東京・有明アリーナで開催された「ONE 165: Superlek vs. Takeru」でONEデビュー戦を果たす。

当初はロッタン選手との対戦が予定されていたが、ロッタン選手の負傷により、スーパーレック・キアトモー選手とのフライ級キックボクシング世界タイトルマッチが組まれたが、大戦相手の変更が発表されたのは、2024年1月8日

そして、試合が行われたのが1月28日であり、わずか20日間で、

現チャンピオン保持者と戦わなければならないハードルの高い事情に見舞われた。

この試合で武尊選手は判定負けを喫し、王座獲得はならず。

さらに膝の大きな怪我を負うことなり、長期休養の実情も重くのしかかった。

それでも、心が折れることなく、怪我を回復・リハビリを経て、

2024年9月にONE Championshipで2戦目を戦う。

武尊選手のONE2戦目においても、茨の道の連続。

2024年9月27日にタイ・バンコクのルンピニー・スタジアムで開催された「ONE Friday Fights 81」で行われたのだが、ここでも、当初の対戦相手であったブラック・パンサー選手が負傷欠場したため、急遽ミャンマー出身の激闘型ファイターのタン・ジン選手(19歳)との対戦に変更。

激闘ファイター同士が真っ向から撃ち合いで戦い、逆転KOで武尊選手が見事に勝利を飾り、復活を果たした。(ONE参戦後、2戦1勝1敗)

この試合での勝利により、武尊選手はONEフライ級キックボクシングランキングで2位にランクインし、次戦として念願のロッタン・ジットムアンノン選手との対戦が実現。

武尊選手自身も、格闘技専門誌での取材で、「この試合が最後のつもり」と語っており、

ロッタン選手との対戦に強い意欲を示しています。

武尊選手は1991年7月29日生まれで、2025年1月現在、33であり、

現役生活として、キック業界の平均現役年齢を考えたら、

ピークを過ぎていると言われておかしくない年齢。

ロッタンとの試合が3月に組まれ、その後の結果次第で、自身の進退についても決断することとなる。

武尊vsロッタンの世界最高峰の戦いが楽しみでならない

 

文:高須基一朗