JBC、試合後に開頭手術を受けた2選手が相次ぎ死去 悲劇を受け緊急会見開催「再発防止に全力で取り組む」
2025年8月10日 日本ボクシングコミッション(JBC)は10日、東京・後楽園ホールで行われた試合後に急性硬膜下血腫で開頭手術を受けた2選手が相次いで亡くなったことを受け、東京・文京区のJBC本部事務局で緊急会見を開催した。
試合後、1週間が経過して、突然の訃報に、関係者やファンからは深い悲しみの声があがっている。
亡くなったのは、8日にM・T所属の神足茂利さん、そして翌9日に帝拳所属の浦川大将さん。どちらも試合後の急性硬膜下血腫により手術を受けていたが、無念にも命を落とした。日本のボクシング界にとって、これほど大きな悲劇はかつてなかったと言っても過言ではない。
会見に出席した萩原実コミッショナーは冒頭、「まずは神足選手、浦川選手のご冥福を心よりお祈り申し上げます。ご遺族の皆様には言葉もありません。深くお詫び申し上げます」と深々と頭を下げ、痛切な胸の内を明かした。
さらに、「原因の徹底的な調査と究明を最優先し、可能な限りの対応を速やかに進めていく」と決意を示した。
また、安河内剛本部事務局長は、「我々としてもできる限りの管理体制を敷いてきたつもりでしたが、このような悲劇が起きてしまったことは大変痛ましく、管理者としての責任を強く感じています」と沈痛な表情で語った。
続けて「皆さまと力を合わせ、再発防止に全力で取り組みます」と強い決意を示した。
JBCはこれを受け、試合のラウンド数短縮を含む安全対策を即座に実施。
従来12回戦で行われていた東洋太平洋王座戦や国内のWBOアジア・パシフィック王座戦を10回戦に統一することを決定し、ノンタイトルを含む12回戦の国内試合を今後認めない方針だ。
さらに具体的な安全強化策については、12日に開かれるJBCと日本プロボクシング協会(JPBA)の緊急対策委員会で議論される予定である。
昨年12月に穴口一輝選手が開頭手術を受けた後に亡くなって以来、国内のリングでの危険性は指摘されてきたが、一つの興行で2人もの将来性のある若い選手が開頭手術を受け、その両者が亡くなるという事態は日本ボクシング史上かつてない異例の悲劇となった。
これ以上の被害に再発を防ぐためにも、業界全体が根本的な見直しを急がなければならない。