韓国で巨大違法サイト摘発 家族や知人の盗撮動画を投稿してポイント稼ぎ…会員25万人 秘密のチャットルーム約470室、3年間で2億ウォン超の収益か

2026.10.21

 

身近な人への信頼を悪用 盗撮映像を

投稿・閲覧する歪んだ仕組みが被害を拡大

韓国で、家族や知人を盗撮した動画や写真が大量に共有されていた違法サイトが閉鎖され、警察が運営陣の行方を追っている。会員が盗撮映像を投稿するとポイントを獲得でき、そのポイントを使って別の映像を閲覧できる仕組みが設けられていたという。身近な人への信頼を悪用した犯罪に加え、違法な映像を会員同士で交換するシステムそのものが問題となっている。


 

10月21日の現段階で複数の韓国メディアが報道しており、

警察などは17日、同サイトをめぐる捜査状況を明らかにした。

サイトは5月の関連報道と警察の捜査を受けて閉鎖され、

運営陣のアカウントも凍結・削除されたという。

報道によれば、登録アカウントは約25万件と推定され、会員が参加する秘密のチャットルームも約470室に上っていた。

運営側はプレミアム料金プランや投稿を目立たせるアイテム、

招待状などを販売し、直近3年間で確認された収益だけでも2億ウォンを超えたとされる。

警察は、姿を消した運営陣について国際捜査協力などを通じて行方を追っている。


 

■ 盗撮動画を投稿すればポイント獲得 会員同士の交換を促す仕組み

この事件で注目されるのは、違法な映像を掲載する場所が存在したことだけではない。会員の投稿や反応をポイントに結びつけ、別の映像を閲覧できる仕組みが構築されていた点だ。

報道によると、会員は家族や知人などを盗撮した動画や写真を投稿したり、ほかの投稿に反応したりすることでポイントをため、そのポイントを使って別のコンテンツを閲覧していた。

このシステムでは、違法な映像を投稿する行為が、別の映像を見るための手段になる。自ら撮影した映像を共有する会員が増えれば、サイト内で閲覧できるコンテンツも増えるという循環が生じる。

さらに、運営側は有料プランや投稿を目立たせるアイテムなどを販売していたとされる。会員によるコンテンツの投稿・閲覧と、運営側による収益化が組み合わされていたことになる。

ただし、報道で示された約25万件という数字は登録アカウントの推定数であり、実際の利用者数や、盗撮に関与した人数をそのまま示すものではないがゆえにさらに人数は増えていた実態がある。

アカウント数だけから、すべての登録者が盗撮を行ったと判断することもできない。

 

■ 被害者は家族や知人 最も身近な人間関係が悪用される危険

盗撮被害の深刻さは、撮影された映像が本人の知らないところで共有されることにある。

今回の報道では、家族や知人などを盗撮した動画や写真が多数共有されていたとされる。

被害者にとって信頼していた人物が撮影者だった場合、生活空間での安全や人間関係そのものが脅かされていた可能性が高い。

撮影された映像がインターネット上に流出すると、元の投稿が削除されても、複製や保存によって別の場所に残るおそれがある。被害者が自分の映像がどこまで流通したのかを把握することも難しいだろう

 

■ ドメイン遮断は30回以上 アドレス変更で再開する運営手法

報道によると、韓国の放送メディア通信審議委員会は、過去3年間に同サイトのドメインを30回以上遮断したという。しかし、運営陣はアドレスを変更し、サイトの開設を繰り返していたとされる。

この経緯は、違法サイト対策の難しさを示している。特定のドメインへのアクセスを遮断しても、運営者が別のアドレスでサービスを再開すれば、利用者が再び流入する可能性があるからだ。

そのため、対策にはアクセス遮断だけでなく、運営者の特定、収益の流れの解明、サーバーやアカウントなどの証拠保全、関連する投稿者の捜査などが重要になる。

今回の事件については、警察が国際捜査協力を通じて運営陣を追跡していると報じられている。運営側の責任がどこまで認定されるか、サイトの運営に関与した人物や投稿者がどのように捜査対象となるかは、今後の捜査や司法手続きで明らかになる部分がある。

 



 

■ 韓国の法律ではどう処罰されるのか 盗撮だけでなく流通・閲覧も対象

韓国では、盗撮や違法な性的映像の流通について、「性暴力犯罪の処罰等に関する特例法」(性暴力処罰法)第14条が重要な規定となる。同条は、撮影対象者の意思に反する撮影だけでなく、撮影物の流通や所持・購入・保存・視聴などについても処罰を定めている。


1.同意のない撮影:7年以下の懲役または5000万ウォン以下の罰金

第14条第1項は、カメラなどを利用し、性的欲望や羞恥心を誘発し得る他人の身体を、撮影対象者の意思に反して撮影する行為を処罰対象としている。

法定刑は、7年以下の懲役または5000万ウォン以下の罰金だ。

家族や知人による撮影であっても、親しい関係であることだけを理由に処罰の対象外になるわけではない。ただし、個々の写真や動画がこの条文の対象となるかどうかは、撮影状況や映像の内容などに基づいて判断される。


2.映像の配布・販売・提供:7年以下の懲役または5000万ウォン以下の罰金

第14条第2項は、違法に撮影された映像やその複製物を配布、販売、貸与、提供したり、公然と展示・上映したりする行為を処罰する。

また、撮影時には本人の意思に反していなかった映像でも、後になって本人の意思に反して流通させれば、同項が適用される可能性がある。

ポイントを介した映像の共有が、具体的にどの罪に当たるかは、映像の内容、提供方法、関係者の認識や役割などを踏まえて判断される。


3.営利目的のオンライン流通:3年以上の有期懲役

第14条第3項は、営利目的で情報通信網を利用し、撮影対象者の意思に反して同条第2項に該当する流通行為を行った場合、3年以上の有期懲役を定めている。

今回の報道では、運営側が有料プランなどを販売し、直近3年間で把握された収益が2億ウォンを超えたとされる。ただし、この収益額だけで同項の成立が自動的に決まるわけではない。対象となる犯罪行為、営利目的、通信網の利用など、条文の要件を満たすかどうかが問題となる。


4.違法映像の所持・購入・保存・視聴:3年以下の懲役または3000万ウォン以下の罰金

第14条第4項は、同条第1項または第2項に該当する撮影物や複製物について、所持、購入、保存、視聴した行為を処罰対象としている。

法定刑は3年以下の懲役または3000万ウォン以下の罰金だ。

そのため、違法な映像を自ら撮影していない場合でも、対象となる映像を取得・保存・視聴した行為について刑事責任が問題になり得る。実際の適用に当たっては、映像が法律上の対象に該当するかなど、個別の要件を確認する必要がある。


5.常習的な犯行:刑の加重も

第14条第5項では、第1項から第3項までの犯罪を常習的に行った場合、定められた刑を最大で2分の1まで加重する規定が置かれている。

継続的な撮影や反復的な流通が認められる事件では、犯行の回数や経緯などが刑事責任の判断に関係する。もっとも、サイトの運営期間が長いことだけで、関係者全員に常習犯の規定が適用されるわけではない。


 

■ 2026年の韓国判決でも違法映像の共有が争点だが、法律規制にも限界が・・・

違法映像の流通をめぐっては、2026年7月1日付で公表されたソウル中央地裁の判決概要も参考になる。

同裁判所は、Instagramの画面共有機能を通じて、被害者の身体が撮影された動画や写真を知人に見せた行為について、性暴力処罰法第14条第2項の「提供」に当たると判断した。被告人には懲役1年6月などの判決が言い渡されたと公表されている。

この事例は、映像を一般公開したり、販売したりする場合だけでなく、特定の相手に共有する行為も、具体的な状況によって処罰対象となり得ることを示している。

 

■ 問われるのは運営者だけではない モラルなき違法映像を求める市場をどう断つか

今回の事件で浮かび上がったのは、違法映像を集めるサイトの存在だけではない。投稿にポイントを付与し、別の映像を閲覧できるようにする仕組みと、運営側が有料サービスなどで収益を得る構造が組み合わされていた点だ。

違法な映像が投稿され、閲覧され、さらに別の利用者へ渡る仕組みが維持されれば、被害者の意思に反した映像の流通が続くおそれがある。ドメインを遮断しても別のアドレスで再開されるのであれば、運営者の特定や収益構造の解明も欠かせない。

一方、登録アカウント数や秘密のチャットルーム数は、犯罪に関与した人数をそのまま示すものではない。捜査では、撮影者、投稿者、運営者、販売に関わった人物、映像を取得した人物など、それぞれの関与を証拠に基づいて見極める必要がある。