パッキャオ氏も賛同「消費される選手」を救えるか!?新団体「Fighters Guild」設立の衝撃

2026.2.18

格闘技界に、これまでなかった発想の“セーフティネット”が生まれようとしている。

2月18日、東京都内で設立が発表された一般社団法人「Fighters Guild(ファイターズギルド)」は、格闘家の活動中のケガ、生活不安、そして引退後までを視野に入れた支援プラットフォームだ。しかも、その仕組みの中核に据えられているのは、ブロックチェーンと暗号資産(トークン)。業界初の試みである。


 

会見には、GLORY共同創設者でFighters Guild理事のマーカス・ルアー氏、

Pacquiao Promotionsのジョージ・チャン氏、

ABEMA格闘チャンネルの北野雄司エグゼクティブ・ビジネス・プロデューサー、

そして技術面を担うabc株式会社代表取締役社長の松田元氏が登壇した。

 

さらに、ボクシング界の伝説的存在であるマニー・パッキャオがビデオメッセージで賛同を表明。2019年のキース・サーマン戦で実際に使用したサイン入りグローブが贈呈されると、会場の空気は一段と引き締まった。

だが、この日の主役はむしろ、静かに、しかし強い言葉を放った松田社長だった。

 

▪️「強くても、負ければ捨てられる」

「強いかどうか分からない。でも目立つから出場する。負けたら捨てられる。強くても怪我をしたら捨てられる」

会見で松田氏が繰り返したのは、「消費される選手」という言葉だった。

格闘技は華やかなエンターテインメントである一方、選手生命は短い。敗戦や負傷は、即座に商品価値の低下を意味する。リングの上で脚光を浴びた翌日、将来の保証は何もない――そうした構造的な不安定さが、業界の根に横たわっている。

松田社長は、IT・ブロックチェーン分野での事業経験を踏まえ、「金融やテクノロジーの力で、格闘家のキャリアを“点”ではなく“線”にできないか」と構想を語る。その答えの一つが、トークンを活用した支援設計だ。

 

▪️“保険”ではない、条件付き支援の思想

Fighters Guildが掲げるのは、単純な給付型の支援ではない。

怪我の場合、診断書や通院、休養の事実確認といった条件を満たしたうえで、段階的にトークンが利用可能になる仕組みを想定。引退後のセカンドキャリア支援では、ジム開業を例に挙げ、「物件確保」「運営体制」「自己資金」といった現実的な要件に応じて支援を実行するという。

「無条件で配るのではなく、選手の行動と連動させる。努力や計画に対して後押しする設計です」

松田氏の言葉からは、単なる“救済”ではなく、持続可能なエコシステムを築こうとする意志がにじむ。

 

▪️トークンは“暴落”とどう向き合うか

暗号資産を活用する以上、避けて通れないのが価格変動リスクだ。

松田氏は、格闘技関連トークンが「売られて暴落しやすい」現状にも言及。対策として、興行収益の一部を買い戻し原資に充て、価格の下支えを図る構想を示した。さらに、選手側の売却についても承認制を導入し、市場への放出量をコントロールする設計を検討しているという。

原資は、

(1)ファンからのサポート、

(2)スポンサー支援、

(3)興行収益の一部、

という複数のルートを想定。

単一の資金源に依存しない体制を築くことで、長期的な安定を目指す。

これは単なるファン投げ銭モデルではない。格闘技産業そのものを巻き込んだ“共助の経済圏”を描こうとしている。

 

▪️「格闘家ファースト」は実現するか

ABEMAの北野氏も「格闘家ファースト」を強調。

選手支援が業界全体の持続的成長につながるとの認識を示した。

加入自体は広く受け付ける方針だが、支援の厚みは一律ではない。

戦績や知名度だけでなく、「ファンとの約束を守った回数」なども評価指標に含め、段階的に決めていくという。

この“可視化された評価”が、選手の行動変容を促す可能性もある。リング外での誠実さが、将来の安心につながる―そうした価値観を根づかせる狙いも透けて見える。

 

▪️ボクシング界のレジェンド・パッキャオ氏の賛同が意味するもの

マニー・パッキャオのメッセージは象徴的だった。

フィリピンの貧困層から世界王者に上り詰めた彼は、キャリア後半に入ってもなお政治家として社会課題と向き合ってきた。そのパッキャオが賛同を示したことは、「成功者が次世代を支える」という思想への共鳴とも受け取れる。

Fighters Guildは今後、トークン設計の詳細を近日中に発表し、

3月中旬を目安に参加選手を公表する見込みだという。

格闘技は、極限の勝負の世界だ。

だが、その裏側にある不安定さを放置したままでは、競技の未来もまた脆い。

松田社長が会見で繰り返した「消費される選手」という言葉。

その構造を変えることができるのか。