NBA衝撃の歴史的トレードから1年―アンソニー・デイビス、ウィザーズへ「失敗」と「再建」が交錯した大型トレードの舞台裏

2026.2.5

NBAマーベリックスのアンソニー・デイビス(32)が、大型トレードでワシントン・ウィザーズへ移籍することが4日(日本時間5日)に明らかになった。

米スポーツ専門局ESPNが報じた。


 

ESPN報道によると、ウィザーズはアンソニー・デイビスを中心に、ジェイデン・ハーディ、ディアンジェロ・ラッセル、ダンテ・エクサムを獲得。一方のマーベリックスは、クリス・ミドルトン、AJ・ジョンソン、マラキ・ブランハム、マービン・バグリー3世に加え、将来のドラフト指名権5本を手にした。

わずか1年前、「衝撃の歴史的トレード」と評された移籍によってマーベリックスに加わったデイビスは、結果的に1シーズン足らずでチームを去ることになった。

当時、GMを務めていたニコ・ハリソン氏は「アンソニー・デイビスとカイリー・アービングのコンビで、3~4年以内に優勝を狙える」と明言。ルカ・ドンチッチとのトレードで獲得したデイビスは、新たな時代の“核”として大きな期待を背負っていた。

しかし現実は厳しかった。

デイビスはマブス加入後、度重なる負傷に悩まされ、出場はわずか29試合にとどまった。デビュー戦で内転筋を負傷し6週間の欠場を強いられると、復帰から間もなく、今度はアービングが前十字靭帯断裂という重傷を負った。2人が同時にコートに立ったのは、わずか1試合だけだった。

混乱はフロントにも及ぶ。昨年11月初旬、ハリソン氏はGM職を解かれ、球団は事実上の方針転換を余儀なくされた。さらにドラフト・ロッタリーでは、1.8%という低確率ながら全体1位指名権を獲得。世代を代表する逸材クーパー・フラッグを指名し、マーベリックスは「勝負の継続」ではなく「再建」へと大きく舵を切った。

今回のトレードは、その象徴的な一手と言える。

 

▪️NBA移籍市場は「実力」だけで動かない―サラリーキャップが生んだ“合理的決断”

この大型トレードを理解する上で欠かせないのが、NBA特有の移籍市場の構造だ。

NBAはサラリーキャップ(年俸総額制限)を軸とするリーグであり、選手の実力や知名度だけで移籍が決まる自由市場ではない。高額契約を抱えるスター選手は、それ自体が「資産」であると同時に「制約」にもなる。

32歳のデイビスは依然としてリーグ屈指のビッグマンだが、度重なる故障歴と高額年俸は、再建期に入ったマーベリックスにとっては重荷になりつつあった。一方のウィザーズは、若手主体のチームに経験とスター性を注入し、再浮上のきっかけを求めていた。

 

複数選手と指名権を絡めた今回の取引は、単なる戦力交換ではない。
「今を取りに行くチーム」と「未来を積み上げるチーム」 NBAの移籍市場では、この時間軸の違いがトレード成立の最大要因となる。