冬季五輪直前でユッタ・リールダムが見せた「完成形」転倒と涙を越えて─ミラノで金を狙うオランダ女王の現在地
【from Jutta Leerdam official Instagram】
ミラノ冬季五輪の開幕が刻一刻と近づくなか、
スピードスケート界で静かな注目を集めている選手がいる。
北京五輪銀メダリスト、そして世界選手権7度の優勝を誇る
ユッタ・リールダム(27=オランダ)だ。
大会を目前に控えた1月26日、リールダムは自身のSNSに短い動画を投稿した。
婚約者でYouTuber格闘家のジェイク・ポールとともにホットバスに浸かるひと幕。
黒の競技用水着に包まれた引き締まった太腿と臀部は、単なるオフショットの域を超え、「五輪本番仕様」に仕上がった現在のコンディションを雄弁に物語っていた。
だが、この落ち着いた表情の裏側には、決して順風満帆とは言えない道のりがある。
▪️選考会での転倒、それでも途切れなかった道
転機となったのは、昨年12月26日に行われたオランダ五輪代表選考会だった。
主戦場である1000メートルでバランスを崩し、転倒。壁に激突し、そのままレースを完走できなかった。スタンドで見守っていたジェイク・ポールの前で涙を流す姿は、世界中のファンに衝撃を与えた。
通常であれば、その時点で五輪の夢が断たれても不思議ではない。
しかし、リールダムは折れなかった。
続く500メートルで2位に入り、意地を見せると、オランダ選考委員会は今季ワールドカップでの実績に着目。
1000メートルでの優勝という結果を重く評価し、異例とも言える形で同種目の五輪出場を承認した。
結果として、リールダムは500メートルと1000メートルの2種目でミラノ五輪の切符を手にする。
転倒は終わりではなく、むしろ「選ばれるに値する存在であること」を証明する試練となった。
▪️鍛え抜かれた肉体が示す「本番モード」
今回公開された動画で印象的なのは、左足首に巻かれたサポーターだ。長年付き合ってきた故障への慎重さがにじむ一方、水中で見せた安定した姿勢と均整の取れた下半身は、調整が最終段階に入っていることを示している。
そこにあるのは、見せるための身体ではない。
氷上で0.01秒を削るために作り込まれた、競技者としての「完成形」だ。
リールダムは今や、競技成績だけで語られる存在ではない。
昨年3月にはジェイク・ポールからプロポーズを受け婚約。11月にはナイキのコラボブランド「Nike SKIMS」のキャンペーンモデルに起用されるなど、トップアスリートの枠を超えた影響力を持つ存在となった。
だが、彼女の視線はあくまで氷上に向けられている。
北京五輪で取り逃した金メダル。その悔しさは、今も胸の奥にある。
競技者として、そして一人の女性として充実期を迎えた今、リールダムは再び五輪の舞台に立つ。
静かな休息の先に待つのは、世界最高峰の戦いだ。
完成された肉体と、折れなかった心。
ミラノのリンクで、オランダ女王は金色の結末を描くことができるのか。



