国立競技場、ネーミングライツ導入で運営体制を大刷新「MUFGスタジアム」始動の裏で進む館内事業の再編と“入れ替え”

2026.1.5

 

国立競技場が2026年から「MUFGスタジアム」として新たなスタートを切る。

このネーミングライツ契約は、名称変更にとどまらず、スタジアム運営の中枢にまで及ぶ大規模な構造転換の引き金となっている。

運営を担うジャパンナショナルスタジアム・エンターテイメント(JNSE)は、今回の契約を契機に、館内における飲食・物販・サービス事業の契約体系を全面的に見直し、従来の“継続前提型”から“再選定型”へと大きく舵を切った。


 

■ 館内飲食・物販も「リセット」 ネーミングライツがもたらした波及効果

これまで国立競技場では、旧国立時代からの流れや大型大会ごとの慣行を引き継ぐ形で、特定業者が継続的に出店・運営を担うケースも少なくなかった。しかし、MUFGスタジアム構想の始動に合わせ、JNSEは館内事業を「スタジアム体験全体の価値を構成する要素」と再定義。飲食店や売店についても、新たな基準に基づく契約・選定プロセスを導入した。

この結果、これまで国立競技場に出店していた一部業者が契約更新に至らず、館内から姿を消すケースも生じている。一方で、これまで国立競技場とは縁のなかった企業やブランドが、新たに参入する余地も生まれた。

関係者の間では「単なるスポンサー契約ではなく、スタジアムの“中身”まで含めた再設計が始まった」との見方が出ている。

 

■ 「公共施設」から「体験価値型施設」へ 変化に伴う摩擦も

今回の一連の刷新は、国立競技場の位置づけそのものを変えようとする試みでもある。JNSEとMUFGが掲げるのは、競技開催時だけ稼働する巨大施設ではなく、日常的に人が集い、消費と交流が生まれる“開かれた社会インフラ”だ。

そのため、飲食メニューの多様化、キャッシュレス対応、環境配慮型店舗、イベント連動型店舗運営など、従来以上に厳格かつ戦略的な要件が課されることになる。
こうした変化は、新たな付加価値を生む一方で、長年に渡り国立競技場に関わってきた事業者にとっては高いハードルとなり、
「入れない」「続けられない」という状況を生んでいるのも事実だ。

 

■ ネーミングライツは“合図”に過ぎない

関係者の間では、今回のネーミングライツ契約は「象徴的な合図」に過ぎず、本質は運営思想の転換にあるとの声も強い。
名称に企業名を冠することで、スタジアム全体のブランディング、ガバナンス、収益構造を一本化し、世界基準のスタジアム経営へ近づける狙いがある。

今後は、飲食・物販にとどまらず、イベント誘致、地域連携プログラム、デジタル施策など、あらゆる分野で“従来通りではない”変化が進む可能性がある。

MUFGスタジアムをめぐる一連の改革は、

日本のナショナルスタジアムが抱える長年の課題に正面から向き合う試みだ。

一方で、公共施設としての公平性や、

これまで支えてきた事業者との関係性をどう再構築するかは、

今後の大きな課題となる。


・JNSE特設サイト
http://jns-e.com/mufgstadium/

・MUFG特設サイト
https://www.mufg.jp/profile/brand/sponsorship/mufgstadium/index.html