NBAカップが定着へ クリスマス前の“冬の祭典化”が進むワケ

2025.12.11

©️NBA

NBAがシーズン中に開催する新トーナメント「NBAカップ(NBA In-Season Tournament)」が、アメリカのホリデーシーズンと重なる11月〜12月に実施されることで、短期間で“冬の新名物”として存在感を高めている。

クリスマスゲームを前にした全米規模の盛り上がりは、

近年さらに勢いを増している。

 


■ 11月〜12月の“谷間”を狙った導入背景

NBAはこれまで、開幕直後の高揚感が一段落する11月から12月前半にかけて、視聴熱の低下が課題となっていた。
その課題を補う形で導入されたのがNBAカップだ。リーグは、ホリデーシーズンに入るタイミングに合わせ、レギュラーシーズンに新たなストーリーを生み出す狙いを持った。

導入以降、この期間に大会を配置することで、シーズン序盤の注目度向上に成功。カジュアル層を含めた幅広いファンの関心を引き込み、クリスマスゲームまでの盛り上がりを持続させる構造が整いつつある。

 

■ ド派手な“大会専用カラーコート”がSNSで話題に

視覚効果でエンタメ性を強化

NBAカップの象徴として大きな役割を果たしているのが、各チームが採用する大会専用のカラーコートである。
通常のウッド調とは異なる大胆な色使いが特徴で、チームカラーを全面に押し出した鮮烈なデザインが続々登場。赤・ターコイズ・パープルなど鮮やかな色彩がアリーナを彩り、テレビ中継でも一目で“特別な大会”とわかる演出となっている。

SNSでも、写真やハイライト動画の拡散が増加し、視覚的な楽しさが大会の認知拡大に寄与。視覚演出を強化することで、従来のレギュラーシーズンとの差別化が進んだ。

■ 短期決戦が熱を生む クリスマス前の高揚感を後押し

NBAカップは、グループステージからノックアウト方式へと進む短期決戦が特徴。
“負ければ終わり”のわかりやすい構図が緊迫感を高め、序盤戦にしては異例の真剣勝負が生まれる。特に12月に開催される準決勝・決勝は高視聴率を記録し、近年ではホリデーシーズンの恒例イベントとして受け止められつつある。

この流れにより、「NBAカップ → クリスマスゲーム」という年末の視聴動線が確立。ファンの間では、冬のスポーツイベントとしての位置づけが強まり、年末の“お祭り感”を引き上げている。

■ 商業的価値も向上 スポンサー・メディアから評価高まる

派手なカラーコートや大会ロゴの演出はスポンサー露出の拡大にもつながり、メディア各社からも「冬の新たな収益源」として注目されている。
配信プラットフォームでは、カップ戦の視聴時間が通常試合を上回るケースも増え、シーズン序盤のコンテンツ価値が向上した。

NBAにとってNBAカップは、レギュラーシーズン中の“強化ポイント”として、戦略的に重要なポジションを占め始めている。

■冬の名物イベントとして定着へ

NBAカップがシーズン中に開催される理由は、
シーズン序盤の盛り上がり強化と、ホリデーシーズンの視聴熱を最大化するためにある。

さらに、

大会専用の派手なカラーコートによる視覚演出

ノックアウト方式による短期決戦のドラマ性

クリスマス前の高揚感との相乗効果

これらが組み合わさり、NBAカップは“冬の祭典”として完全に定着しつつある。

アメリカのホリデーシーズンに新たな彩りを添えたこのトーナメントは

、今後さらに存在感を増すことが予想される。


【文:高須基一朗】