中国EV勢、日本市場で存在感拡大 BYDの戦略とイオンの販売網が後押し
総合スーパー大手のイオンリテールは、
中国EV(電気自動車)大手BYD社が展開する
小型EV「ドルフィン」の販売を、
協業で今秋から年明けにかけて強化する。
また、BYDはe-スポーツセダン「BYD SEAL」の
最新モデルも今月より日本市場に投入することも発表。
中国の自動車産業が日本市場をターゲットに
大きな舵取りを行っていることを象徴する動きとなった。
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イオンは国内の「イオン」「イオンスタイル」約30施設でBYD車の展示・販売窓口を設置し、購入者にはWAONポイント還元や自宅用EV充電器設置支援などの優待策を提供する。
BYDの小型EV「ドルフィン」は地域によっては実質200万円前後から購入可能で、国・自治体の補助金と組み合わせれば最大100万円の値引きが実現する。
一方で、e-スポーツセダン「BYD SEAL」は後輪駆動(RWD)が495万円、四輪駆動(AWD)が572万円に設定され、電子制御式サスペンション「DiSus-C」や最新快適装備、V2Hの効率向上などが盛り込まれ、従来モデルから走行性能や質感がさらに向上している。
BYDの戦略的展開は、日本市場における中国EVの存在感を高めるだけでなく、自動車産業を世界でリードする日本での販売数を伸ばすことで世界市場での影響力拡大を意図した動きといえる。
特にSEALは、日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベストカーに選出され、RJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤーも受賞するなど、中国メーカーとしては国内外で評価をされる成果を挙げた。
今回のイオンによる販売強化は、同社の中国進出や現地モール運営で培った販売戦略や消費者接点のノウハウが生かされている。
展示・販売網を活用したプロモーションは、消費者にとっての体験価値を高めると同時に、中国メーカーが日本市場での舵取りを加速させる足掛かりとなる。
中国が自動車産業で主導権を握る中、日本市場でもBYD車が身近な価格と性能で消費者の手に届く環境が整いつつある。
イオンとBYDの協業は、国内EV市場の拡大加速に直結する可能性が高い。
【文:高須基一朗】