マーベルが「渋谷」を舞台にするKADOKAWAと新プロジェクト始動 スパイダーマン&グウェンが日本漫画で新章

2026.9.30

【©️Marvel/KADOKAWA】

スパイダーマンが、ニューヨークから渋谷へ。

マーベル・コミックとKADOKAWAによる新たな漫画プロジェクト「MARVEL|KADOKAWA」が本格始動する。2026年中に漫画サイト「カドコミ」で連載開始を予定している第1弾5作品のうち、9月30日に『スパイダーマン』と『スパイダーグウェン』の作品情報とコンセプトアートが公開された。

世界的なヒーローを、日本の漫画家が日本の都市や日常を舞台に描く。

今回の取り組みで目を引くのは、単にマーベル作品を漫画化するという発想ではない。日本の読者が見慣れた風景や文化の中に、マーベルのキャラクターを置くことで、新しい物語を作ろうとしている点にある。


 

▪️主人公は渋谷で暮らす高校生 新たなスパイダーマン像

『スパイダーマン』の主人公として登場するのは、渋谷で暮らす男子高校生・八鳥桜糸(はちどり・はると)。

作品の正式タイトルはまだ明らかになっていない。

桜糸は、ある出来事をきっかけに未知なる「スパイダー能力」を獲得する。

そこから始まるのは、これまで数多く描かれてきたスパイダーマンの物語とは異なる、日本の都市を舞台にしたヒーローの物語だ。

渋谷の街をスイングしながら駆け抜ける桜糸。その一方で、彼の活動に呼応するように、都市に潜む「影」が動き始めるという。

巨大なスクランブル交差点、高層ビル、繁華街、若者文化。

世界中で知られる東京・渋谷という街そのものが、今回のスパイダーマンにとって重要な舞台になる。

海外側の紹介では「Spider-Man of Shibuya」といった表現も用いられており、日本を代表する都市とマーベルの象徴的キャラクターを組み合わせた企画として注目されている。

漫画を担当するのはtokitokoro。

「Jeff The Land Shark」などマーベル関連作品にも携わってきたクリエイターが、日本を舞台にした新たなスパイダーマンを描く。

 

▪️グウェンはドラマー ヒーローになる前の日常から描く

もう一つの柱となるのが『スパイダーグウェン』だ。

こちらもタイトルは現段階で未定。

グウェン・ステイシーは、ごく普通の高校生として生活しながら、バンド「メリー・ジェーンズ」でドラマーとして活動している。

しかし、実験室で放射性のクモに噛まれたことで、その日常は大きく変わる。

超人的な能力を手にしたグウェンは「スパイダーウーマン」として街を守ることを選択する。

ただし、今回描かれるのは能力を手に入れて活躍するヒーロー像だけではない。

高校生としての生活、音楽活動、そしてヒーローとして背負う責任。

二つの世界を生きる中で生まれる葛藤や選択が、物語の重要な要素になる。

作画を担当するのは山田リューセイ。

「MARVEL SWIMSUIT SPECIAL」でキャプテン・マーベルを手がけた経験を持つクリエイターが、グウェン・ステイシーを日本漫画の表現で描き出す。

 

▪️「アメリカのヒーローを日本で描く」から一歩先へ

今回のプロジェクトを考えるうえで興味深いのは、マーベル側が日本の漫画表現そのものを活用している点だ。

アメリカンコミックと日本漫画では、ページ構成、コマ割り、キャラクターの見せ方、連載形式など、作品を成立させる文化が異なる。

その二つを組み合わせることで、従来のマーベル作品とは違った読み味が生まれる可能性がある。

特に今回のスパイダーマンは、舞台そのものが日本。

「どこかにある架空の日本」ではなく、渋谷という実在する都市を物語の中心に据えることで、日本の読者にとっては身近な場所がヒーロー作品の舞台になる。

これはキャラクターを日本向けに置き換えるだけではなく、世界観そのものを日本の漫画文化に接続する試みともいえる。


▪️サンディエゴ・コミコンで発表された大型企画

「MARVEL|KADOKAWA」の始動が発表されたのは、

2026年7月25日に米国で開催されたサンディエゴ・コミコン2026。

「MARVEL FANFARE」パネルで新プロジェクトの概要が紹介された。

第1弾として予定されているのは5タイトル。

今回明らかになったのは『スパイダーマン』『スパイダーグウェン』の2作品で、残る作品については今後順次発表される予定となっている。

マーベル関連の発表が世界中から注目を集める大型イベントの舞台で、日本のKADOKAWAとの共同プロジェクトが紹介されたことも今回のポイントだ。

日本国内だけを対象とした企画ではなく、世界的なマーベルブランドの中で日本発の漫画を展開していく形が示されている。

 

▪️KADOKAWAが持つ「漫画の先」への展開力

KADOKAWAにとっても、今回のプロジェクトは漫画単体にとどまらない展開を考えやすい。

同社は漫画、ライトノベル、アニメ、ゲーム、映像など複数のコンテンツ分野を横断して作品を展開してきた。

そのため、まず漫画として作品を立ち上げ、その後に別のメディアへ広がっていく可能性も含め、今後の展開には注目が集まる。

もちろん、現時点でアニメ化や映像化などが決定しているわけではない。

まずは「カドコミ」でどのような作品としてスタートするのかが最初の焦点になる。

スパイダーマンには長い歴史があり、グウェン・ステイシーにも世界中にファンがいる。

だからこそ、日本の漫画家が新たな設定と表現で描く今回の作品は、既存のファンにとっても新鮮な試みになる。

特にスパイダーマンを渋谷に置いたことで、

東京という都市そのものが物語の一部になる。

日本の読者にとっては「知っている街」が舞台になり、海外の読者にとっては「日本の都市を駆け抜けるスパイダーマン」という新しい見え方が生まれる。

マーベルの世界観を日本漫画の方法論で描くことで、国内向け作品と海外向けコンテンツの境界もこれまでとは違った形になっていく。

 

▪️2026年中に連載開始予定

『スパイダーマン』『スパイダーグウェン』を含む第1弾5作品は、

2026年中に「カドコミ」で連載開始予定。

その後、単行本化も予定されている。

現段階では正式タイトルや具体的な連載開始日など、今後明らかになる情報も多い。

それでも今回の発表によって、マーベルの人気キャラクターを日本の漫画家が、日本の読者に向けた新しい物語として描く方向性は見えてきた。

ニューヨークを象徴するヒーローが渋谷を舞台に動き出す。

この設定だけでも、これまでのスパイダーマン作品とは違う景色が見えてくる。