人工靭帯で早期復帰へ 遠藤航選手はW杯出場へ決断の手術「復帰3か月」最新再建術とは

2026.4.3

【遠藤選手:公式 Instagram投稿画像より】

サッカー日本代表の遠藤航選手が選択した「人工靭帯による再建手術」が、サッカー界でも注目を集めている。早期復帰を可能にする最新の靭帯再建術とはどのようなものなのか。今回の負傷から手術、復帰までの流れとともに、人工靭帯手術の実例も含めて詳しく紐解く。


 

▪️リスフラン靭帯断裂で手術決断

イングランド・プレミアリーグの名門
リバプールFCに所属する遠藤選手は、2月11日の試合で左足を負傷。足の骨をつなぐリスフラン靭帯を完全断裂していた。

治療方法は主に2つあった。

プレート(ボルト)で骨を固定

人工靭帯で靭帯を再建

遠藤はワールドカップ出場を最優先に考え、人工靭帯による再建手術を選択した。

プレート固定の場合は後からプレートを外す手術が必要になり、再びリハビリ期間が発生する。一方、人工靭帯なら再手術が不要で、復帰までの期間を短縮できるという。

 

▪️最新の人工靭帯再建手術とは

現在スポーツ界で使用される人工靭帯は主にポリエステル製の人工靭帯(LARS靭帯など)で、靭帯の代わりに関節を安定させる役割を持つ。

従来の靭帯再建手術は、

・自分の膝の腱を移植(自家腱)

・他人の腱を移植(同種腱)
という方法が主流だった。

しかし人工靭帯は

・移植腱を採取する必要がない

・手術時間が短い

・リハビリ期間が短い

・早期競技復帰が可能
という特徴がある。特に足首部分のリスフラン靭帯や膝前十字靭帯(ACL)で近年では使用例が増えている。

 

【実例① サッカー選手のリスフラン靭帯人工靭帯再建】

あるJリーグ選手の例では、リスフラン靭帯断裂後に人工靭帯で再建手術を実施。

手術〜復帰までの流れ

・手術:負傷から約1週間後

・2週間:松葉杖歩行

・1か月:軽いランニング

・2か月:ボールトレーニング

・3か月:公式戦の試合復帰

約12週間で公式戦復帰という、従来より1〜2か月早い復帰となった。

 

従来のプレート固定の場合は

・プレート除去手術

・可動域の正常値へ戻すための再度リハビリ
が必要になるため、復帰まで半年以上かかるケースも多い。

遠藤選手が人工靭帯を選んだ理由もここにある。

 

【実例② 前十字靭帯人工靭帯再建(海外プロ選手)】

欧州サッカーでは膝前十字靭帯断裂に人工靭帯を併用するケースもある。

・一般的なACL再建→ 復帰まで約9か月

・人工靭帯併用→ 約6か月復帰

特に30歳前後のトップ選手として成熟期に差し掛かる選手や

大きな国際大会を控えた選手が選択することが多いと言われている。

 

▪️5月復帰ならCL決勝・日本代表戦も視野

遠藤選手は現在リハビリを進めており、復帰目標として5月30日 UEFAチャンピオンズリーグ決勝 5月31日 日本代表アイスランド戦を挙げている。

人工靭帯手術の一般的な復帰目安は約3か月。
2月手術の場合、5月末復帰は医学的にも現実的なスケジュールとなる。

遠藤は今回の手術についてこう語っている。

「ワールドカップでプレーするための手術だった」

通常ならプレート固定が選ばれるケースでも、大会出場を最優先して人工靭帯を選択。まさにトップアスリートならではの決断と言える。

人工靭帯はまだすべてのケースで使われるわけではないが、
早期復帰を目指すトップアスリートの選択肢として、今後さらに増えていく可能性が高い。



 

▪️リスフラン靭帯とは?

足の甲にある“体重を支える最重要靭帯”

 

リスフラン靭帯とは、足の甲(中足部)にある靭帯で、
足の骨と骨をつなぎ、体重を支える非常に重要な役割を持っている。

正式には「リスフラン関節靭帯(Lisfranc ligament)」と呼ばれている。

 

▪️足のどこにあるのか!?

足は大きく3つの部分に分かれる。

後足部(かかと)

中足部(足の甲)

前足部(つま先)

リスフラン靭帯は「中足部」にあり、

内側楔状骨

第2中足骨

この骨同士を強力につないでいる。

 

この靭帯があることで、歩く、走る、ジャンプ、切り返し、踏ん張る

といった動作で足が崩れずに体重を支えられるようになっています。

 

▪️なぜ重要な靭帯なのか!?

リスフラン靭帯は足のアーチ構造を支える中心にあり、

ここが切れる=足の土台が崩れるというかなり重いケガになるわけだ。

スポーツ選手の場合は、サッカー、ラグビー、バスケ、アメフト、格闘技など、踏ん張る・方向転換する競技で起こりやすいケガです。

 

▪️リスフラン靭帯損傷の主な原因

よくある受傷パターンは

① 足の甲を踏まれる

サッカーで多い

② 足をついた状態でひねる

タックル・転倒

③ つま先立ち状態で体重がかかる

ジャンプ着地など。

リスフラン靭帯を損傷すると足の甲の強い痛み

腫れに内出血(足裏に出ることが多い)

体重をかけられない、歩けない、足の甲が広がる感覚

特に足裏の内出血はリスフラン損傷の特徴と言われている。

 

▪️軽傷・重傷の違い リスフラン損傷は大きく3段階

レベル 状態 治療
軽度 靭帯の伸び 固定・保存療法
中度 部分断裂 固定・場合により手術
重度 完全断裂・骨ずれ 手術(ボルト or 人工靭帯)

完全断裂はほぼ手術となる。