18歳の逆転劇はなぜ“世界の記憶”になったのか!? チェ・ガオンとクロエ・キムが体現した、五輪という名の残酷で美しい物語

2026.2.17

【Olympic Korea】

五輪には、数字だけでは語れない瞬間がある。

2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪。大会前半戦のハイライトとして、米スポーツメディアThe Athleticが選んだのは、

スノーボード女子ハーフパイプ決勝で起きた“逆転の一撃”だった。

主役は、18歳のチェ・ガオン。


 

▪️88.00点という“壁”

2本目終了時点で首位に立っていたのは、五輪連覇を狙う絶対王者、クロエ・キム。88.00点。完成度、安定感、そして王者の風格。誰もが「このまま決まる」と思った。

だが、五輪は予定調和を拒む。

最終3本目、チェ・ガオンは迷いなく難度を引き上げた。高さ、滞空時間、着地の静寂。演技を終えた瞬間、会場の空気が変わる。表示された90.25点は、単なる得点ではない。世代交代を告げる数字だった。

追い込まれたクロエ・キムは、最後の一本で勝負に出る。しかし、攻めた結果の転倒。勝敗は反転する。

この数分間に凝縮されていたのは、スポーツの本質そのものだった。

 

▪️最も熾烈な競争によるドラマ

The Athleticはこの対決を「最も熾烈な競争によるドラマ」と評した。一方で、フィギュア男子シングルの優勝候補だったイリア・マリニンの失速を「最も衝撃的な失望」と位置づけた。

マリニンはショート首位からフリーで高難度構成に挑み、2度転倒。8位に沈んだ。挑戦は称賛され、結果は残酷だった。

勝利と失望。そのコントラストこそが五輪のリアリティである。

 

▪️勝者と敗者を分けなかった瞬間

だが、チェ・ガオンの金メダルが特別だった理由は、逆転劇そのもの以上に、その後にあった。

表彰式。抱擁。互いを指さし称える仕草。

勝者と敗者という単純な二項対立を、二人は軽々と越えてみせた。そこにあったのは、競技者同士の純粋な敬意だった。

チェ・ガオンの金メダルは、16日時点で韓国代表団唯一の金。それでも、この一枚は単なる「国の成果」を超え、スポーツが持つ普遍性を象徴する存在になった。

 

▪️世代交代は静かに・・・しかし確実に

五輪は、歴史の更新装置でもある。

絶対王者が立ち、挑戦者が挑み、そしてある瞬間に均衡が崩れる。だがその崩壊は、決して破壊ではない。むしろ、物語の継承だ。

18歳の勝利は偶然ではない。積み上げた技術、恐れない構成、そして「王者に挑む」という覚悟。そのすべてが、90.25という数字に結晶した。

大会は後半戦へ向かう。

全116個の金メダルのうち、すでに半数以上が授与された。

しかし、前半戦を象徴する一場面を挙げるなら、

多くの人があの最終滑走を思い出すだろう。