慶大4番が選んだ“遠回りという最適解”常松広太郎選手、カブスとマイナー契約 安定より挑戦を取った決断の意味

2026.1.16

【©️Chicago Cubs】

東京六大学野球リーグで慶大の主砲を担った常松広太郎外野手(22)が、メジャーリーグ・カブスとマイナー契約を結んだ。ドラフト指名漏れ、有名企業からの内定辞退という異例の経緯を経ての米国挑戦。華やかさとは無縁のスタートだが、その選択は「遠回りに見えて、実は最短ルート」とも言える。


 

常松選手は16日、自身のSNS投稿で「Chicago Cubsとマイナー契約を締結しました。長く険しい道のりだと思いますが、楽しみながら一歩一歩這い上がります」と報告。

インスタグラムでも英語で感謝の言葉を綴り、静かな決意をにじませた。

 

185センチ、89キロの恵まれた体格を持つ右の強打者。25年春のリーグ戦では3本塁打を放ち、慶大打線の中心として存在感を示した。プロ志望届を提出し、NPBドラフトに臨んだものの、結果は育成指名を含めて“指名漏れ”。多くの選手なら、ここで区切りをつける選択も現実的だった。

それでも常松選手は野球を続ける道を選んだ。

しかも、安定した将来を約束されていた米金融大手ゴールドマン・サックスの内定を辞退してまでだ。この決断は無謀にも映るが、視点を変えれば極めて合理的でもある。

米ニューヨーク州育ちの帰国子女で、英語力や異文化適応力は折り紙付き。

大学卒業直後という年齢、身体的なポテンシャル、そして社会人を経ずにフルコミットできる環境。

マイナー契約だからこそ、結果次第で評価が一気に跳ね上がる土壌がある。

NPBで埋もれる可能性や年齢的制約を考えれば、「今、挑む」以外の選択肢はなかったとも言える。

マイナーリーグは決して甘い世界ではない。

だが、そこは同時に“実力主義が最も徹底された場所”でもある。

肩書きも前評判も関係ない。打てば昇格し、結果を出せばチャンスが巡ってくる。常松の言う「楽しみながら一歩一歩這い上がる」という言葉には、その現実を受け入れた覚悟が込められている。

ドラフト指名、有名企業内定、即戦力。

分かりやすい成功ルートをあえて外れ、自分の可能性に賭けた22歳。

マイナー契約という控えめなスタートは、決して妥協ではない。むしろ、自らの将来を最大化するための、冷静で勇敢な選択だった。