中井りん選手のアメリカでの試合中止を巡り格闘イベント興行主が異例の声明 言葉の壁と意思疎通のズレが生んだ興行主と選手側の決定的乖離
米国の格闘技イベント「IGNITE Fights」は16日、3月に開催予定だった大会「IGNITE Fights 111」で予定されていた日本人女子格闘家・中井りん選手の試合が突如として中止となったことを正式に発表した。
同時に公開された声明では、交渉の経緯が詳細に説明され、言語や認識の違いによる深刻な意思疎通の不全が、試合消滅の要因だったことが明らかにされた。
中井選手は同大会で、元UFCファイターのパニー・キアンザドと対戦する予定だった。
12連勝中でありながら昨年11月以降試合から遠ざかっていた中井選手にとって、復帰戦として注目を集めていたカードだったが、開催を前に突然白紙となった。
▪️体重設定を巡る認識の違いが交渉の分岐点に
運営側の説明によると、試合は数週間前から水面下で調整が進められ、契約締結の段階に入っていたという。その過程で、中井選手側から125ポンドではなく130ポンドでの試合を求める要望があり、対戦相手のキアンザドもこれに同意した。
しかし130ポンドは競技制度上「バンタム級」として扱われる。
この点について、日本側は後になって一部データベース上の表記を問題視し、「精神的なストレスが生じた」と主張。ここで、階級や表記に対する理解の差が顕在化した。
米国側は「当事者同士で合意した条件であり、正当な理由にはならない」と説明したが、日本側はその後も不利な条件を理由に撤退の意向を示したとされる。
▪️情報伝達の混乱が信頼関係を決定的に損なう
さらに事態を複雑化させたのが、負傷を理由とした欠場連絡の経路だった。
運営側の声明によれば、中井選手側は別のマネジメント会社を通じて州の競技委員会に「負傷により出場できない」と伝達。
正式な協議や発表を待たずに情報が動いたことで、興行主側は強い不信感を抱いたという。
加えて、試合から事実上撤退した後に出場が発表された点についても、
運営側は「混乱を招いた」と指摘。
連絡窓口の不統一と情報共有の欠如が、双方の関係を修復不能な段階へと押し進めた。
▪️国際興行で浮き彫りになった“伝わらなさ”
最終的にIGNITE Fightsは、「これ以上対応する時間も忍耐もない」として、中井りん選手および関係者との今後の取引を断念する姿勢を明確にした。
今回の騒動は、単なる契約破談にとどまらず、国際舞台における言葉の壁、
契約文化の違い、意思疎通の重要性を浮き彫りにしたケースといえる。
実力や実績があっても、それを支えるコミュニケーションが機能しなければ、興行そのものが成立しない。
中井りん選手の試合中止は、国境を越えた格闘技ビジネスの難しさを改めて示す結果となった。
▪️発表された文書記
「IGNITE Fights 111の、まだ発表されていなかったメインイベントが、もはや実現しなくなったことを残念に思います。
日本のメディアは、中井りんが3月21日にミネソタで、私たちのバンタム級タイトルをかけてパニー・キアンザド(Pannie Kianzad)と戦うと報じていました。私たちは当初、数週間前に中井りんと彼女のマネジャーと共に、もう一人のUFCベテランであるパニー・キアンザドとの素晴らしい試合を組みました。
試合の契約を締結する段階に入った際、りんは125ポンドではなく130ポンドを要求し、パニーは親切にもそれに同意しました。理由は、試合まで3か月あるにもかかわらず、ミネソタは気候が寒いということでした。その後、州の承認を得るために公式データベースに130ポンドで試合が追加されましたが、これはバンタム級の試合となります。
どうやら、これを要求し同意したにもかかわらず、りんと彼女の夫でありコーチである宇佐美館長(Director Usami)は、Sherdog(公式データベースですらない)でそれがバンタム級と表記されているのを見て、数日間の精神的ストレスが生じたと主張しました。
その後、契約に署名してから数週間後に、彼は再び、りんには身長の不利があり、撤退するつもりだと言いました。私たちは彼に、それが正当な理由ではないと知らせました。
数時間迷った後、彼は、りんには正体不明の怪我があり、現時点では診断が不確定だと言いました。その後、宇佐美館長とりんは、全く別のマネジメント会社を通じて州委員会にメールを送らせ、彼女が負傷しており競技できないと伝えました。
私たちがこれを知る前、そして適切なプレスリリースを出して試合を発表する機会を得る前に、宇佐美氏らは、後に試合と彼女が出場することを発表しました。すでに試合から撤退していたにもかかわらずです。
私たちにはもう、プロ意識のないアスリートに対処する時間も忍耐もありません。現時点では、私たちは試合をプロモーションすることも、宇佐美館長や中井りんとこれ以上の取引をすることもできません。
彼らが気難しく、ひどい評判だったにもかかわらず、私たちは彼らにチャンスを与えるつもりでした。私たちの時間、そしてパニーと彼女のチームの時間が無駄になったことを悲しく思いますが、信頼できるプロのアスリートたちと共に新しいイベントを作り、3月21日に素晴らしいイベントを開催できることを楽しみにしています」

