久光製薬、4500億円規模のMBOで非公開化へ!! 創業家主導で全株取得、成長投資に経営の自由度確保

2026.1.6

【©️久光製薬】

サロンパスで知られる久光製薬が、経営陣による買収(MBO)を通じて非公開化する方針を固めた。創業家出身の中冨一栄社長の資産管理会社が株式公開買い付け(TOB)を実施し、市場に流通する株式をすべて取得する。近く正式に発表する見通しだ。


 

買収総額は足元の時価総額約3400億円にプレミアムを上乗せした約4500億円規模となる。必要な資金は、創業家による出資に加え、金融機関からの融資を活用する。TOBが成立すれば、久光製薬は上場廃止となり、非公開企業へ移行する。

 

▪️株主は現金化、会社は市場から距離

MBOは、経営陣や創業家が自社株を買い取り、株式市場から退出する手法だ。株主にとっては、市場価格を上回る水準での売却機会となる一方、企業側は株価や株主還元への短期的な要請から距離を置き、長期視点での経営判断が可能になる。

近年は市場再編や資本効率を重視する投資家の圧力が強まっており、MBOや再編に伴う上場廃止は2025年に過去最多を更新した。製薬業界では、大正製薬ホールディングスが2024年に同様の手法で非公開化に踏み切っている。

 

▪️競争激化と政策リスクが背景に

久光製薬の業績はここ数年、総じて堅調に推移してきた。ただ、市販の貼付薬市場では安価な類似品の拡大により競争が激化している。加えて、自民党と日本維新の会が合意した「OTC類似薬」を巡る制度変更も、同社にとって逆風となる可能性がある。

市販薬と成分や効果が近い処方薬について患者に追加負担を求める仕組みで、久光が主力とする貼付薬も対象に含まれる見通しだ。需要の先行き不透明感が、経営判断に影響したとみられる。

 

▪️海外展開に集中、還元圧力から解放

同社は成長戦略として、サロンパスの海外展開を軸に据えている。2025年10月に公表した中期計画では、27年2月期からの5年間で設備投資に500億円超、研究開発や戦略投資に1500億円超を投じる方針を示した。一方で、株主還元にも500億円以上を充てる計画としており、成長投資と還元の両立が課題となっていた。

非公開化により、同社は株主対応に振り回されることなく、成長が見込まれる米国など海外市場への投資や研究開発に経営資源を集中できる。中長期的な収益基盤の強化を優先する狙いがある。

報道を受け、久光製薬の株価は前日比で上昇に転じ、ストップ高水準の5200円で買い気配となった。同社は同日、「非公開化について検討していることは事実であり、本日中に公表を予定している」とコメントした。