松本白鸚さん 苦渋の決断―83歳の名優が舞台を託す 初春歌舞伎に走った緊張と継承の一夜
2026.1.6
歌舞伎界の重鎮が、万全ではない体調の中で下した決断が、
劇場に静かな緊張感をもたらした。
松本白鸚さん(83)が出演中の歌舞伎座
「壽 初春大歌舞伎」夜の部を、体調不良のため
休演することが6日に松竹から発表された。
白鸚さんは夜の部(Aプロ)で、屈指の重厚な演目として知られる『女殺油地獄』の小栗錦左衛門を勤めていた。人間の業と狂気をむき出しにする難役だけに、舞台に立つ俳優には極度の集中力と体力が求められる。
今回の休演は、舞台の完成度と安全を最優先に熟慮の末、名優の英断といえる。
この日の公演では、小栗錦左衛門役を中村東蔵さん(87)が代役として務めることが決定。東蔵さんもまた、長年にわたり歌舞伎界を支えてきた存在であり、急な代役発表ながら、劇場には「舞台は止めない」という伝統芸能の矜持が貫かれた。
松竹は「1月8日(木)以降の上演については、決定次第、公式ホームページで案内する」としており、白鸚さんの復帰時期は現時点では未定。

