ディズニーがオープンAIに1550億円出資 Soraで自社キャラクター解禁─エンタメ産業の主導権争い、次の局面へ

2025.12.12

米ウォルト・ディズニーが、生成AI分野の中心企業であるオープンAIへ10億ドル(約1550億円)を投入する。加えて、動画生成モデル「Sora(ソラ)」でのディズニーキャラクター使用を公式に認めるライセンス契約も締結した。
エンターテインメント業界の巨人が自ら“AI時代の主導権争い”に踏み込んだ格好だ。


 

今回の契約は、Soraにとって初の大規模ライセンス案件となる。

ユーザーはミッキーマウスやミニーマウスをはじめ、

『アナと雪の女王』『トイ・ストーリー』、

『リトル・マーメイド』など、200体超のキャラクターを用いて

動画制作が可能になる。

ChatGPTでの画像生成においても同様の利用が解禁される。

 

■ ディズニーの狙いは「クリエイター保護」か「AI市場の囲い込み」か

発表に際し、ロバート・A・アイガーCEOは「急速に進化するAIは、我々の業界にとって重大な節目にある」と強調し、「クリエイターの尊重と保護を前提に、責任あるかたちでストーリーテリングを拡張する」と説明した。

しかし同時に、同社は契約を“部分的に独占的”と表現。3年間は独占権が含まれるとも示唆しており、生成AIの映像市場におけるポジション確保を狙うディズニーの思惑もうかがえる。

■ Soraとの提携がもたらすインパクト

オープンAIのサム・アルトマンCEOは、「ディズニーはストーリーテリングの世界的象徴」と述べ、今回の契約が“AIとクリエイティブ産業の協業モデルの指針になる”と発言。
AI企業にとってエンタメ大手との正式ライセンスは、これまで曖昧だった著作権問題に対する一つの回答でもある。

■ クリエイターの不安に、アイガー氏が直接反論

AIの導入は、従来からアーティストや制作現場の不安を招いてきた。これに対しアイガー氏はCNBCの取材で「脅威ではない」と断言。「ライセンス料の発生を含め、クリエイターは十分尊重されている」と説明した。

 

【 既に実装済みか!? bit.comの投稿画像より】

■ AI×キャラクターIP、世界最大級の“実証実験”

今回の合意は、キャラクターIPを核とするディズニーにとっても、

AI映像生成にとっても、規模の大きい転換点となる。
AIがディズニーの巨大IPをどう拡張し、

逆にディズニーがAI市場をどう誘導するのか─。

3年間の独占契約は、世界のエンタメ産業における

AI活用と権利管理のモデルケースになる可能性が高い。