吉川晃司さん「職業、吉川晃司」刊行中止を決断「自分で己の人生を解説してはいないか」と葛藤告白

2025.10.12

【瞬刊モッツ編集部】

歌手で俳優の吉川晃司さん(59)が、11月12日に文藝春秋から刊行予定だった自身の書籍『職業、吉川晃司』の発売を中止すると発表した。
デビュー40周年、還暦を迎えた節目の年に放たれるはずだった“語り下ろしの一冊”が、発売直前で幻となった。

 

▪️「理想的な表現法を模索したが…」と理由を説明

本書は、1984年の映画『すかんぴんウォーク』主題歌「モニカ」でデビューして以来、音楽・俳優業の両面で第一線を走り続けてきた吉川さんの半生を、本人の言葉で紐解く構成になる予定だった。
「石橋は叩いて渡らず泳げばいい」「不条理とワルツを踊る」など、彼ならではの比喩や哲学が散りばめられた“吉川語録”の集大成でもあり、多くのファンが刊行を心待ちにしていた。

しかし吉川さんは、制作の過程で「この半年間、力を尽くして作成に臨んで参りましたが、理想的な表現法を模索していたさなか、自分で己の人生を解説してはいないかという疑問が湧き、それを払拭できず断念しました」とコメント。
「いつの日にか、今ならやれるという境地を開拓できたなら、自ら筆を執ろうと思うしだい。何卒ご容赦願います」と、丁寧な言葉でファンに理解を求めた。

 

▪️“語らぬ男”の美学

吉川さんといえば、音楽・演技・アクション、いずれのフィールドでも“生き様”そのもので表現してきた、こだわり抜いた人生を続けるアーティストの1人だ。
ステージ上でシンバルを蹴り上げる「シンバルキック」や、飾らないストイックな姿勢は、まさに「語らぬ背中」で多くを伝えるタイプ。
今回の決断には、“吉川晃司”という人物の根底にある「自己解釈を拒む美学」が垣間見える。

出版関係者は「本人の哲学が詰まった内容だったが、納得できないまま世に出すことを彼は望まなかった」と話す。
デビューから41年、今なおロックと誠実に向き合い続ける吉川晃司さんだった。