木村拓哉主演『教場III』前編Netflix独占配信 フジテレビが異例のハイブリッド戦略

2025.10.7

【© Fuji Television Network, Inc.】

フジテレビ製作の人気シリーズ最新作『教場III』が、

前編をNetflixで独占配信、

後編を劇場公開する異例の公開方式を採用することが発表された。

地上波放送ではなく配信プラットフォームを軸に据えた決断は、

国内テレビ局の映画・ドラマ戦略として注目される。

 

▪️高視聴率を誇る人気シリーズ

『教場』シリーズは、フジテレビ開局60周年特別企画として2020年にスタートしたドラマで、初回放送は15%超の高視聴率を記録。続編『教場II』も13%超と安定した人気を誇り、フジテレビにとって主要なIP(知的財産)となっている。2023年には『風間公親-教場0-』が連続ドラマとして放送されるなど、シリーズは長期的に支持されてきた。

 

▪️配信と劇場公開のハイブリッド戦略

『教場III』は、前編をNetflixで独占配信し、後編を劇場公開する2段階戦略を採用した。従来のフジテレビ作品であれば、地上波放送と劇場公開が基本形だったが、今回は配信を先行させる異例の形式を選択している。

ハイブリッド戦略は、日本国内では比較的新しい試みであり、昨年末の『推しの子』が同様の方式で苦戦した事例もある。

ただし、『教場III』は前編が映画1本分で、配信開始から後編公開まで約2か月の間隔があるため、状況は異なると見られる。

 

▪️Netflix独占配信の狙い

フジテレビ側がNetflix独占配信を選んだ背景には、契約金収入に加え、

シリーズ全体の認知度向上がある。

これまでFODでのみ視聴可能だった過去作も、Netflixを通じて国内外の視聴者に届く可能性が高く、FOD加入者150万人と比較して、潜在的視聴者は大幅に拡大する見込みだ。

また、海外市場における認知度向上も期待できる。Netflixでの配信により、日本国内に留まらないファン基盤を形成し、後編の劇場公開にも追い風となる可能性がある。

フジテレビは1998年の『踊る大捜査線 THE MOVIE』以来、テレビドラマシリーズの映画化で成功を収めてきた歴史を持つ。今回の『教場III』も、新しい公開モデルへの挑戦として位置づけられる。特に木村拓哉主演という看板IPを活用し、配信を軸にした戦略でシリーズ認知度を最大化する狙いがある。

配信と劇場公開の成功には作品の質やタイミングも左右するが、フジテレビの今回の決断は、テレビ局が従来の地上波中心の枠組みを超え、配信市場を積極的に活用する新たな戦略の象徴と言える。

2025年、『教場III』の前編配信と後編劇場公開の成果は、

国内テレビ局のコンテンツ戦略の指標となる可能性もあるだろう。