ボクシング世界王者の中谷潤人選手がバンタム級2冠王座を正式返上 スーパーバンタム級転向で井上尚弥選手の牙城へ挑戦表明

2025.9.18

プロボクシングのWBC・IBF世界バンタム級統一王者、中谷潤人(27=M・T)が18日、神奈川県相模原市の所属ジムで会見を行い、保持する2本の世界王座を正式に返上し、

スーパーバンタム級へ階級を上げることを発表した。

会見には村野健会長も同席し、近日中に両団体に返上届を提出する見通しだ。

中谷は今年6月、西田凌佑(六島)との王座統一戦で6回終了TKO勝利を収め、初の統一王者となったばかり。

わずか3か月での返上となったが「より高いレベルの挑戦を求めていきたい」と決意を語った。

 

■バンタム級からスーパーバンタム級へ

バンタム級(53.5kg以下)は、軽量級ながらスピードとパワーが両立する人気階級。かつて井上尚弥(大橋)が4団体を制覇し、現在は空位も多い再編期を迎えている。
一方、中谷が挑むスーパーバンタム級(55.3kg以下)は、現在“モンスター”井上がWBA・WBC・IBF・WBOすべてを統一し、世界の頂点に立つ階級だ。かつてのノニト・ドネアやギジェルモ・リゴンドーといった名王者たちが名勝負を繰り広げてきた激戦区であり、バンタム級より層の厚い階級とされる。

中谷は「井上選手がいることがモチベーション。強さを証明するなら、この階級で勝つしかない」と語り、統一王者への挑戦を明確にした。

 

■次戦はサウジで世界ランカーと対戦か

有力視される次戦は12月27日、サウジアラビア・リヤドのANBアリーナで開催される興行。同興行では、井上尚弥がWBC1位アラン・ピカソ(メキシコ)との防衛戦を行う予定で、中谷も同じ舞台に立つ可能性が高い。対戦候補は、井上の元スパーリングパートナーでWBC同級8位のセバスチャン・エルナンデス(メキシコ)が浮上している。

 

■返上後のバンタム級王座戦線

中谷の返上により、WBCとIBFのバンタム級王座は空位となる。

WBC:1位に那須川天心(帝拳)、2位に井上拓真(大橋)が控えており、日本人同士の王座決定戦が現実味を帯びる。

IBF:1位と2位は空位で、3位には無敗のホセ・サラス・レイジェス(メキシコ)、4位に井上拓真がランクされている。

返上によって新たな世界王者が誕生することになり、日本人選手が再び戴冠する可能性も高い。

 

■来年5月GWには“東京ドーム決戦”が焦点

仮に中谷がスーパーバンタム級初戦を突破すれば、来年5月に東京ドームで予定される井上尚弥との頂上決戦が一気に現実味を帯びる。すでに井上は「中谷くん、あと1勝。来年は東京ドームで盛り上げましょう」とエールを送っており、日本ボクシング界にとって歴史的な一戦となる可能性が高い。