【中日】球界ののスラッガー中田翔選手、腰痛との闘いに終止符 満足なスイング叶わず…通算309本塁打の豪打が静かに幕
【©️中日ドラゴンズ】
かつて球界屈指の長距離砲として名を馳せた中日・中田翔内野手(36)が、ついにバットを置く決断を下した。原因は、長年彼を苦しめ続けた腰痛。スラッガーの生命線とも言える「腰の回転」を奪われた彼に、もはや全力スイングは残されていなかった。
プロ18年目。日本ハム、巨人、中日と渡り歩き、積み上げた本塁打は309本。
その豪快なフルスイングはファンを魅了し続けたが、21年頃から腰痛が慢性化。試合のたびに激痛と戦い、シーズンを通してバットを振り抜くことが難しくなった。
今季も開幕直後は復活の兆しを見せ、4月には2試合連続アーチ。
しかし5月中旬、腰の痛みは限界を迎えた。
痛み止め注射、電気治療、徹底的なリハビリ─あらゆる手段を講じても、違和感は消えない。腰をひねった瞬間に力が抜ける感覚が何度も訪れ、「しがみついてまでやりたくない」と漏らすまでに追い込まれた。
スラッガーにとって腰はエンジンそのもの。
インパクトの瞬間、腰の回転がわずかに鈍れば、打球は外野フェンスまで届かない。ましてやプロの舞台では、わずかな力の減退が致命傷となる。
中田選手はその現実を、誰よりも痛感していた。
大阪桐蔭時代から全国区のスターだった中田は、2007年ドラフトで4球団競合の末に日本ハム入り。主砲として3度の打点王、5度のベストナインを受賞し、侍ジャパンでも世界を相手に4番を務めた。だが、年齢と蓄積した故障が、豪快な打撃フォームを蝕んでいった。
「思い切りスイングできなくなった時が引退の時」─その信念は揺るがなかった。
最後の打席まで主砲としての誇りを失わなかった背番号6の雄姿は、痛みに耐え続けた戦士の証でもある。
近く開かれる会見で、彼はどんな言葉で別れを告げるのか。腰痛という見えない敵に敗れた男の、18年間の物語は静かに幕を下ろす。