高校野球に激震 史上初のDH制導入決定 来春2026年センバツから採用へ

2025.8.1

長い伝統を誇る高校野球が、大きな転換点を迎える。日本高野連は1日、大阪市内で開いた理事会で、来春の第97回選抜高校野球大会から指名打者(DH)制を導入することを正式に承認した。公式戦でDH制が採用されるのは、高校野球史上初めてのことだ。

 

 導入の議論は今年1月に発足した「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」で進められてきた。会議は宝馨会長やU18日本代表監督・小倉全由氏ら15人で構成。7回制やリプレー検証の導入を含め、高校野球が直面する課題を幅広く議論する中で、DH制が急浮上した。

 当初、7回制が実現すれば出場機会の減少が懸念されるため、その対策の一つとしてDH制が取り沙汰された。しかし、投手の故障リスク軽減や打撃に特化した選手への活躍の場提供といったメリットが評価され、7回制の可否にかかわらず先行導入が決断された形だ。

 現場からは歓迎の声も上がる。島根代表・開星の野々村直通監督は「バッティングだけ抜群に得意な選手がいる。そういう子に公式戦でチャンスが与えられるのは意義深い」と強調。「大学やプロではすでに導入されている制度。高校野球も時代に合わせて変わるべき」と背中を押した。

 一方で、「投手も含めた総合力こそが高校野球の魅力」という保守的な意見が根強いのも事実だ。甲子園に息づく“野球の原風景”を重視するファンにとっては、長年の伝統が揺らぐ決定として波紋を広げそうだ。

 アマチュア野球全体の流れを見ると、大学野球では来春から東京六大学、関西学生野球を含む全国27連盟がそろってDH制を採用。今や高校野球が「最後の砦」だったと言える。今回の決断は、競技全体のスタンダードに歩調を合わせたものでもある。