勝てた瞬間、安心感がこみ上げた」与座優貴選手 ONEデビュー戦を語る

2025.5.26

【ONE Friday Fights 109】与座選手インタビュー

©️ONE Championship,

 

2025年5月24日、タイ・バンコクのルンピニースタジアムで開催された『ONE Friday Fights 109』。

元K-1王者・与座優貴選手が待望のONEデビュー戦を勝利で飾った。

対戦相手は無敗ファイター、アビド・オスマノフ。

激しい蹴り合い、鍛え抜かれた体幹がぶつかり合う一戦の末、

判定で勝利を掴んだ与座が、試合後・・・その胸中を語った。

【ONE公式リリースより】

 

▪️「勝っててよかった。本当に安心しました」

リングを降りた瞬間の気持ちを尋ねると、与座は笑顔でこう語った。

「もう“勝ってたー!よかったー!”って。それだけです。正直、安心しましたね。プレッシャーもすごかったんで」

ONE初陣という舞台。さらには会場が本場ムエタイの聖地・ルンピニースタジアムとなれば、その重圧は並大抵ではない。

「ONEデビューという点でも緊張がありましたし、相手が本当に強い選手だったので……いろんな面で疲れました。でも、最高です。勝てたんで。ボーナスも狙ってましたけど、まあ今回は“良し”とします!」

 

▪️想像を超えた攻撃力「こんな強さ、初めてでした」

この日、与座を最も驚かせたのはオスマノフの“攻撃の強さ”だったという。

「自分は基本、対戦相手の想定を高く設定して臨むんですけど、それを超えてくる選手ってなかなかいないんです。でも、オスマノフ選手は違った。パンチも蹴りも、とにかくパワーがすごかった。特にミドルは、これまでキックで戦ってきた中でも一番強くて。リターン(反撃)が遅れるほどの威力がありましたね。蹴られて体幹が崩れる感覚は初めてでした。バランスが持っていかれるほどで、“これはヤバいな”って思いました」

スピードには対応できたものの、攻撃力の面では「想像を超えてきた」と繰り返す与座選手。その強さの一因として「無敗であることの自信や勢いもあったのでは」と分析する。

 

▪️「最後まで攻め切れたのは、勝利を確信できなかったから」

更に与座選手は、試合中に勝利を確信する瞬間はなかったという。

「正直、確信はできなかったです。だからこそ最後まで攻められました。“絶対に勝たなきゃ”って気持ちがずっとあったんで」

試合内容には厳しい自己評価を下す。

「全然ダメですね、今日の内容は。自分としては“やり直し”って感じです。途中から蹴りを多用したのも、作戦通りというより、その場で対応した結果でした。セコンドとも話して、“蹴りの方が通る”って判断したので」

 

▪️“忍者”のような動きを──理想と現実の間で

自身の特徴的なムーブを“忍者みたい”と表現するファンも多い。今回、その持ち味は発揮できたのか?

「見せたい動きはありましたけど、なかなか出せなかったですね。でも、“負けない試合”はできたので、最低限のパフォーマンスはできたかなと思います」

 

▪️素手を信じる哲学──バンテージを巻かない理由

試合でバンテージを巻かないスタイルも話題となった。

「自分は6歳から極真空手をやってきて、空手って基本グローブもバンテージもなしで素手で戦うんですよ。バンテージがあると、どうしても“力む”クセが出ちゃう。だからK-1時代からずっと巻いていません。極真出身の選手でも巻かないのは、たぶん僕くらいじゃないですかね(笑)」

 

▪️「足を折るつもりで蹴る」カーフキックの極意

代名詞でもあるカーフキック。その威力の秘密は? と問うと、即答だった。

「シンプルに“思いっきり蹴ること”。足の骨を折るつもりで、迷わず蹴る。カットされたらどうしようとか、そういう余計なことは考えない。実際に試合で足を折ったこともあります。でも、僕の蹴りは“足の骨を折れる蹴り”ですから」

 

▪️次なる標的はスーパーレック──“骨と骨のぶつかり合い”

試合後のインタビューでは、次戦の展望についても言及した。

「まずは少し休んで、また次の標的を探します。とはいえ、いずれはバンタム級のランカーを順番に倒していくことになると思います。中でもやっぱりスーパーレック選手とは戦いたいですね。あの選手も“足の骨を折れる蹴り”を持ってるんで、“骨と骨のぶつかり合い”になるんじゃないですかね」

 

▪️「名前を出す実力、証明できたと思います」

最後にファンへのメッセージを問うと、真っ直ぐに語った。

「僕は戦うのが好きで、SNSとかでも“戦いたい”って言ってたんですけど、“誰だよこいつ”って言われることもあって。でも今日の試合で、“名前を出す実力”を見せられたんじゃないかなと思います。ここからまた一人ずつ強い選手を倒して、ONEのベルト、必ず獲りにいきます。」

 

【文・構成/高須基一朗】