「ファイナル・デスティネーション」最新作、異例の大ヒットも  ”死の運命”は時代を超えて再燃するのか?

2025.5.25

14年の沈黙を破り、人気ホラーシリーズ『ファイナル・デスティネーション』が帰ってきた。5月16日から全米公開されたシリーズ第6作『Final Destination: Bloodlines』は、初週末で興収5160万ドルを記録し、北米ランキング初登場1位に輝いた。かつてのブランド力を再点火させた格好だが、その背景には幾つかの興味深い変化があった。

 

▪️シリーズの変遷:マンネリと批判の狭間で

『ファイナル・デスティネーション』は2000年に第1作が公開され、目に見えない“死の力”が若者たちを無慈悲に追い詰めていくという斬新な設定で話題を呼んだ。飛行機事故を予知した高校生の物語は、北米興収5000万ドル超、全世界では1億1200万ドルを突破。以降、交通事故、遊園地、サーキット、吊り橋といった異なるシチュエーションを舞台に、死から逃れた人々が次々と命を落としていく“死の連鎖”がシリーズの定番となった。

しかし、シリーズが進むにつれて過激さが先行し、とくに第4作と第5作は3D技術を取り入れたことで視覚的ショックに偏重。批評家からは「悪趣味」との烙印を押されることも多く、次第に観客の関心も離れていった。特に2011年公開の第5作以降、新作の計画は浮上しつつも実現には至らず、シリーズは長らく凍結状態が続いた。

 

▪️驚異的な復活劇:「Bloodlines」が示した可能性

そんな中で登場した『Bloodlines』は、長年のファンだけでなく新規の観客層からも支持を獲得。

公開6日目には早くもシリーズ歴代最高の興行成績を更新、1000万ドルを超えた。

塔の爆発事故を導入に据え、その影響が時を超えて生存者の子孫に及ぶという新機軸の物語が、単なる焼き直しではない“進化したリブート”として評価されている。

 

▪️ホラージャンルの現在地と今後

近年のホラー作品はジャンルとしての多様性と商業的成功を両立させつつある。『罪人たち』や『Until Dawn』など、北米トップ10に4本がランクインするなど、ホラー映画は今、新たな黄金期に差し掛かっている可能性すらある。

『Final Destination: Bloodlines』が真の意味でシリーズの

“再起動”となるのか。

それとも一時的な懐古ブームに終わるのか。