韓国発・喧嘩上等──『YATCHA CLUB』の格闘技イベントがとんでもなかった件
【©︎YATCHA CLUB official】
韓国で今、最も“ヤバい”と話題の格闘技イベント――
「YATCHA CLUB(ヤッチャクラブ)」をご存じだろうか?
ひと言で表すなら、「韓国の路上の伝説たちによる、合法のリアル喧嘩」である。
ここ数年で急成長を遂げたこの団体は、今や若者文化の一部となりつつある。
若者同士の喧嘩が起こると「ヤチャ・ルールでやろうぜ」と言い出すほど、
“カルチャー化”しているのだ。
■ YATCHA CLUBとは何か!?
韓国発の異色格闘技イベント。
地下格闘技の空気を色濃く残しながら、
SNS時代のバズを巻き起こす新世代のバイラル系ファイトクラブだ。
出場者はプロ格闘家に限らない。
元ヤン、現役ジムトレーナー、元軍人、バーの用心棒、元受刑者(?)など、
ストリートで鍛えた猛者たちがリング、路上、砂場……あらゆる場所で拳を交える。
要するに──
「殴り合いの人生経験、全部ここで見せてくれ」というスタイル。
特に印象的だったのは、トンネルの中で行われる八方塞がりの戦いや、
三方向を壁に囲まれたコンテナの中でのバトル。
観客は、たった一方向からしか試合を目撃できないという閉塞感が、
逆にリアリティを生んでいる。
【画像をタップするとコンテナ対決の動画が流れます】
■ ルールはシンプル、ノリは超濃厚
基本ルールはMMA(総合格闘技)に近いが、全体のノリはとにかく濃い。
試合前の煽り合いは、もはや口喧嘩という名のアートだ。
カメラの前でTシャツを破り捨てる選手、
目を見開いて「お前の目、死んでるぞ」と呟く男。
そして、観客の「ウォォオオオ!」という地鳴りのような歓声。
「これは格闘技か? それとも祭りか?」
筋書きのないリアル・エンタメとしての魅力にあふれている。
■ 試合はガチ、演出は“半分バトル漫画”
「演出が過剰では?」という心配は無用。
ゴングが鳴れば一瞬で空気が張り詰める。
飛び膝、グラウンド&パウンド、スラム……。
その動きは、素人の喧嘩では絶対に真似できないレベル。
演者ではなく、“戦士”の顔を見せる彼らに、観る側も一気に引き込まれる。
試合後には、互いに称え合い、涙を流す選手の姿も。
まるで『喧嘩商売』や『刃牙』、『ROOKIES』の熱さを
リアルで体現しているような世界観だ。
■ YATCHA CLUBが示す、新しい格闘技のかたち
「強さとは何か?」を真正面から問いかけてくるYATCHA CLUB。
整備されたプロスポーツとは一線を画す、“むき出しの感情”をぶつけ合う格闘技がここにある。
スポーツというより、現代版の“戦(いくさ)”と呼ぶにふさわしい熱量。
日本で言えば、「THE OUTSIDER」「喧王」「黒王」などの系譜を、
最新の演出とSNSの力で爆発的にアップデートした印象だ。
「最近の格闘技って、なんか物足りない」──
そう感じているあなたにこそ、
YATCHA CLUBを一度、観てほしい。
そこには、命を賭けた“叫び”がある。
【文:高須基一朗/ Text by Motoichiro.takasu】