エヴァを世界的ヒットへ導いた庵野秀明氏が「宇宙戦艦ヤマト」を再び宇宙へ 新作『√2199』劇場長編アニメ化決定 Production I.G×スタジオカラーが初タッグ
『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズなどで知られる庵野秀明氏が、アニメ史に残るSF作品『宇宙戦艦ヤマト』を新たな劇場長編アニメーションとして手がける。
タイトルは『宇宙戦艦ヤマト√2199(ルート2199)』。
庵野氏が監督、企画、製作総指揮を務め、出渕裕氏が共同監督として参加。さらにアニメーション制作をProduction I.Gとスタジオカラーが共同で担うことも明らかになった。
公開時期などの詳細は、今後発表される。
▪️「エヴァ」の原点ともいえる作品を庵野秀明が自ら手がける
『宇宙戦艦ヤマト』は1974年に放送が始まったSFアニメーションの金字塔だ。
西暦2199年。
謎の星ガミラスによる攻撃によって地球は汚染され、人類は滅亡の危機に直面する。
その地球を救うため、宇宙戦艦「ヤマト」がイスカンダル星を目指して宇宙へ旅立つ。
目的は、イスカンダルから「放射能除去装置・コスモクリーナーD」を持ち帰ること。
限られた時間の中で宇宙を航行しながら、乗組員たちが戦い、悩み、決断していく物語は、当時のアニメーション表現に大きな影響を与えた。
そして、この作品に少年時代から強く影響を受けてきた人物こそ、庵野氏だった。
1960年生まれの庵野氏は、中学2年生の頃から『宇宙戦艦ヤマト』に夢中になったという。
その「少年時代に見たヤマト」を、今度は自身が作り手として送り出す。
今回の『√2199』は、単なるシリーズ最新作というだけではない。
庵野氏自身の原体験と、日本アニメーション史の大きな節目が重なるプロジェクトともいえる。
▪️2024年に語られていた「自分が作ることができるようになった」
今回の発表につながる動きは、2024年10月に行われた『「宇宙戦艦ヤマト」50周年記念上映』イベントですでに明らかになっていた。
当時、庵野氏は『宇宙戦艦ヤマト』をベースにした新作アニメ映像を製作する権利について説明。
株式会社カラーがボイジャーホールディングスから製作する権利を付与され、東北新社から著作権の利用許諾を得たことを明かしていた。
そして庵野氏は、自らの言葉で「平たく言うと、僕が新作を作ることができるようになった」と説明。
さらに「僕がここにねじ込んだ」と語るなど、少年時代から思い入れを持つ作品への強い情熱を隠さなかった。
それから約2年。
正式に発表された新作のタイトルが『宇宙戦艦ヤマト√2199』となる。
▪️「√2199」というタイトルが示すもの
今回、特に目を引くのが「√2199」というタイトルだ。
従来の『宇宙戦艦ヤマト』シリーズにおける「2199」という数字は、物語の舞台となる西暦2199年と直結している。
一方で「√(ルート)」という記号が加わったことで、新作が単純なタイトル変更ではないことを感じさせる。
もちろん、現時点で「√」に込められた具体的な意味や物語上の設定は明らかにされていない。
ただ、数学における平方根を連想させる「√」をあえてタイトルに置いたことで、従来作から何を受け継ぎ、どこへ向かう作品なのかという点にも注目が集まりそうだ。
▪️ティザービジュアルに描かれた「発進前のヤマト」
初公開されたティザービジュアルには、荒廃した大地を背景に、宇宙へ向けて発進しようとするヤマトの姿が描かれている。
「宇宙へ旅立つ戦艦」というシリーズの象徴的な構図でありながら、その背景には地球の荒廃が強く意識されている。
『ヤマト』という作品が持つ「地球を救うために旅立つ」という原点を思わせるビジュアルだ。
一方で、物語の詳細、登場人物、キャラクターデザイン、公開時期などについては、現段階では明らかになっていない。
今後どのような設定と物語が提示されるのかが、大きな焦点になりそうだ。
▪️Production I.G×スタジオカラー初の共同制作
制作体制にも注目したい。
今回、アニメーション制作を担当するのはProduction I.Gとスタジオカラー。
両社による初の共同制作となる。
スタジオカラーは庵野氏と深い関係を持つアニメーション制作会社であり、『エヴァンゲリオン』シリーズをはじめ、庵野氏の映像作品を支えてきた。
一方のProduction I.Gは、長年にわたって劇場アニメーションやテレビシリーズなど幅広い作品を手がけてきた制作プロダクション。
その2社が『宇宙戦艦ヤマト』という巨大なブランドを共同で手がけることになる。
しかも今回は、庵野氏が企画だけでなく、監督と製作総指揮まで担当する。
『ヤマト』の歴史を知るファンにとってはもちろん、アニメーション制作そのものに関心を持つ層にとっても興味深い組み合わせだ。
▪️出渕裕氏も共同監督として参加
さらに、出渕裕氏が監督・デザインワークスを担当する。
出渕氏は『宇宙戦艦ヤマト2199』シリーズでも監督を務めた人物。
今回の『√2199』では庵野氏と並んで監督・デザインワークスを担当する。
つまり、新たな映像表現を追求する庵野氏と、ヤマトの世界観を深く知る出渕氏が共同で作品を作る体制となる。
この組み合わせが、過去の『ヤマト』と新作をどのようにつないでいくのかも見逃せない。
庵野氏は今回の新作について、少年時代の夢をかなえることだけが目的ではないという趣旨のコメントを寄せている。
自分たちの世代だけではなく、次の世代にもヤマトを届けたい。
そこには、1974年に誕生した作品を単純に再現するのではなく、半世紀を超えて受け継がれてきた作品を、これからの時代へどうつなぐのかという意識が見える。
『宇宙戦艦ヤマト』は、1974年10月6日から1975年3月30日までテレビ放送された。
その後、テレビシリーズ、劇場版、実写映画などさまざまな形で展開。
今年で放送開始から52年目を迎える。
それだけ長い歴史を持つ作品だからこそ、新作には過去のファンだけでなく、まだ『ヤマト』を知らない世代を宇宙へ連れていく役割も期待される。
庵野秀明氏が少年時代に夢中になった『宇宙戦艦ヤマト』。
その少年が半世紀以上の時を経て、今度は自分自身の手で新たなヤマトを送り出す。
『宇宙戦艦ヤマト√2199』が、シリーズの歴史にどのような航路を刻むか。

