夕刊フジが56年間の歴史に幕!! 読者に感謝を込めて最後の紙面
産経新聞社が発行する夕刊紙『夕刊フジ』が、2025年1月31日発行(2月1日付)をもって休刊した。1969年2月の創刊以来、日本の夕刊紙市場をけん引してきた『夕刊フジ』は、半世紀以上にわたる歴史に幕を下ろした。最終号には「56年間ありがとうございました!!」とのメッセージが読者に向けて掲載され、多くのファンが惜別の声を寄せた。
時代を映した「オレンジ色のニクい奴」
『夕刊フジ』は、創刊当初からタブロイド判の夕刊紙として独自の存在感を発揮。政治・経済・社会問題からスポーツ・芸能・競馬まで、幅広いジャンルのニュースを扱い、特に歯に衣着せぬ報道姿勢とインパクトのある見出しが特徴だった。
「オレンジ色のニクい奴」というキャッチフレーズとともに、通勤電車で読むサラリーマン層を中心に根強い人気を誇っていた。特に、プロ野球や競馬の情報は熱心な読者を生み、「夕刊フジの予想なしでは馬券が買えない」というファンも少なくなかった。スクープ記事の数々も話題を呼び、時に物議を醸しながらも独自のジャーナリズムを貫いてきた。
しかし、公式サイトの発表によると、近年のデジタル端末の普及に伴う新聞購読率の低下、新型コロナウイルス感染症の影響による帰宅時の購読機会減少、さらには新聞用紙や輸送コストの高騰といった経済的要因が経営を圧迫。こうした厳しい状況の中、経営合理化やコスト削減に努めながら発行を継続してきたが、創刊55周年を迎えた節目の年に「夕刊紙としての一定の役割を終えた」との判断に至り、休刊を決定したという。
特別保存版「さらば、オレンジ色のニクい奴」発売
休刊を記念して、夕刊フジの歴史を振り返る特別保存版「さらば、オレンジ色のニクい奴」が発売された。この記念誌では、政治・経済・事件事故からスポーツ・芸能・競馬に至るまで、半世紀を超える激動の歴史を紙面とスクープ記事で振り返るとともに、夕刊フジならではの名物企画も復活。かつての名場面や人気記事を一堂に集め、読者にとっては懐かしさとともに時代の変遷を感じられる内容となっている。
特別保存版は、全国の駅売店やコンビニエンスストア、産経新聞の電子販売サービス「産経iD」などで購入可能。長年親しまれてきた『夕刊フジ』の歴史を記念し、多くの読者が手に取っている。
惜しむ声と今後の展望
SNS上では、『夕刊フジ』の休刊を惜しむ声が多数寄せられている。「通勤時に読むのが日課だった」「スクープ記事が面白かった」「競馬予想には欠かせなかった」など、読者一人ひとりが思い出を語る姿が見られた。また、政治家や芸能人、スポーツ選手などもコメントを発表し、その影響力の大きさを改めて感じさせた。
一方で、デジタルメディアの進化が進む中、産経新聞社はウェブメディアや電子版を強化し、新たなニュースの届け方を模索している。紙媒体としての『夕刊フジ』は幕を閉じるが、その精神や編集スタイルは今後も何らかの形で引き継がれる可能性がある。
56年にわたる歴史に敬意を表し、多くの読者に親しまれた『夕刊フジ』の最終号は、単なる終わりではなく、日本の新聞史における大きな転換点の一つとして刻まれることだろう。
▪️当社・創業者である高須基仁と『夕刊フジ』の深い関わり
『夕刊フジ』の長い歴史の中で、多くの著名な執筆陣が関わってきた。
その一人が出版プロデューサーであり評論家の高須基仁だ。
2005年より「人たらしの極意」という連載をスタートし、
約15年間にわたり寄稿を続けた。
歯に衣着せぬ筆致で業界の裏側を語るそのスタイルは、多くの読者を惹きつけた。
また、2019年9月に高須氏が逝去した際には、長男である高須基一朗が
「夕刊フジの連載を止めない」という父の意志を綴った寄稿文を掲載。
これを受けて、2019年から2021年までの間、
高須基一朗の『瞬刊芸能』が夕刊フジで連載された。
この連載がきっかけとなり、芸能情報に特化した環境が整い、
2025年1月からは本サイト『瞬刊モッツ』がスタートした。
『夕刊フジ』の休刊は、時代の変化を象徴する出来事のひとつだが、
そのスピリットは今後も新たなメディアへと受け継がれていく。
高須基仁、高須基一朗、そして『夕刊フジ』に関わった
すべての執筆者たちが築いてきた独自の報道スタイルは、
今後も変わること無く多くの読者のもとに届けられるだろう。