NBA、球宴明けに“タンキング対策”を本格化 シルバー・コミッショナーがGMへ通達
2月20日(現地時間19日)、NBAはオールスターブレイクを終え、2025-26シーズン後半戦に突入した。レギュラーシーズンは4月13日まで続き、全30チームがプレーオフ争いへ向けて厳しい戦いを繰り広げる。
その再開初日、リーグ全体に緊張が走った。
アダム・シルバーNBAコミッショナーが、各チームのゼネラルマネージャー(GM)30人に対し、来季に向けた“反タンキング”ルールの見直しを計画していることを伝えたと、ESPNが報じた。
▪️そもそも「タンキング」とは何か
「タンキング(Tanking)」とは、将来的なチーム強化を目的に、あえて勝利を追求せずシーズン終盤などで敗戦を重ねる戦略を指す。
NBAでは、成績が下位のチームほどドラフト上位指名を得られる確率が高まる“ドラフトロッタリー制度”が採用されている。そのため、優秀な若手選手を獲得するために、意図的に戦力を落としたり、健康な主力選手を休養させたりして順位を下げようとする動きが問題視されてきた。
つまりタンキングとは、
「今シーズンの勝利を犠牲にして、将来の有望選手を獲得しようとする戦略」
と言い換えることができる。
短期的には合理的な経営判断ともいえる一方で、ファンやスポンサー、放映権ビジネスの観点からは、試合の競争性やリーグの信頼性を損なう行為と受け止められかねない。
▪️罰金処分が相次ぐ中での動き
リーグは直近の試合で健康な主力選手を欠場させたとして、ユタ・ジャズに50万ドル、インディアナ・ペイサーズに10万ドルの罰金を科している。
オールスター期間中の会見でシルバーは、今季のタンキングについて「近年で最悪の状況」と強い危機感を示し、「あらゆる可能な対策を検討する」と明言していた。
▪️検討されている主なタンキング抑制策
関係者によると、以下のような構想が議論されている。
① 指名権保護ルールの制限
ドラフト1巡目指名権は「上位4位」
または「上位14位以上」の場合のみ保護可能とする案。
② ロッタリーオッズの凍結
トレード・デッドライン、あるいはそれ以降に抽選確率を固定。
③ 連続上位指名の制限
2年連続で上位4位以内の指名権獲得を不可とする構想。
④ 成功チームへの制限
カンファレンス・ファイナル進出チームは
翌年、上位4位以内の指名権取得を不可とする案。
⑤ 2年成績ベースの抽選確率
単年ではなく、2年間の成績を基準にロッタリーオッズを配分。
⑥ ロッタリー対象の拡大
プレーイン・トーナメント出場チームまで抽選対象を拡大。
⑦ 抽選確率の固定化
全ロッタリーチームのオッズを一定に設定。
▪️「勝つ意思」をどう守るのか
NBAには世界中からトップアスリートが集う。にもかかわらず、ドラフト順位を優先して本来出場可能な選手を休ませることは、リーグの「選手出場ポリシー(Player Participation Policy)」にも抵触する。
リーグが守ろうとしているのは単なる順位制度ではない。
それは「すべての試合で勝利を目指す」というプロスポーツの根幹だ。
後半戦が始まった今、NBAは“戦略”と“競争の誠実さ”のバランスをどう取るのか。

