フリースタイル・ラップバトルの歴史に新たな1ページが刻まれた。新世代の旗手Sitissy luvitが渋谷を震わせ「Red Bull Roku Maru 2025」王者に

2025.8.23

8月22日、渋谷・Spotify O-EASTで行われた「Red Bull Roku Maru 2025」で、いま最も勢いのある新世代ラッパー、Sitissy luvit(シティシー・ラヴィット)が頂点に立った。

「Red Bull 韻 DA HOUSE」から受け継がれ、今年で3回目を迎えた本大会。

初代MOL53、2代目輪入道に続く新王者の誕生は、

国内MCバトルの世代交代を鮮やかに印象づけるものとなった。

 

Kan a.k.a. GAMI performs

 

SEEDA performs

KEN THE 390 performs

 

ID and Kubotakai compete 

 

Kubotakai and Sitissy luvit compete

 

Sitissy luvit performs winning rap

 

Bonz and 9for compete SATORU and ID compete 

 

▪️“60秒”にすべてをかける特異な舞台

「Roku Maru」のルールは、1バース60秒を交互にぶつけ合う1対1形式。従来の8小節・16小節ではなく、即興力と総合的な表現力が試されるフォーマットだ。ラップスキルだけでなく、会場を支配するカリスマ性や音楽性までが評価の対象となり、勝ち抜くには“総合格闘技”のような対応力が求められる。

 

▪️名だたる強豪を撃破した快進撃

Sitissy luvitは、1回戦で2024年準優勝のMAKA、さらに準々決勝では前回王者MOL53を撃破。準決勝ではベテランSIMON JAPとの世代を超えた一騎打ちに勝利し、決勝へと駒を進めた。
対するは、ラッパーのみならずシンガー・ソングライターとしても活動するクボタカイ。両者は互いにリスペクトを交わしながらも、魂を削り合う激闘を繰り広げた。

延長戦までもつれ込んだ末、Sitissy luvitが「涙なんて枯れた、あとはやるだけだ」と自らの覚悟を吐き出した一節で会場を完全に掌握。勝敗は決し、渋谷の空気を切り裂いた。

 

▪️「場数が勝敗を分けた」

優勝直後、Sitissy luvitは「この大会にはずっと出たかった。バトルに復帰して勝つのは簡単じゃないけど、自分が踏んできた場数が背中を押してくれた」と語った。
さらに、年末に控える日本最高峰「KING OF KINGS 2025 GRAND CHAMPIONSHIP FINAL」に向けては「レッドブルをレペゼンして勝ちたい」と宣言。

国内シーンの頂点に挑む準備は整っている。

 

▪️レジェンドと次世代の交差点

大会を彩ったのは、漢 a.k.a. GAMI、SEEDA、KEN THE 390らレジェンド勢のライブパフォーマンス。観客は長年シーンを牽引してきたベテランたちと、新しい時代を切り開く若手の姿を同じフロアで目撃した。
この交差点にこそ、いまの日本ヒップホップの豊かさと変化が凝縮されていたと感じる。

60秒という短い時間に、ラッパーが積み重ねてきた人生や哲学が凝縮される舞台と言える。
そして今年、その最前線に名を刻んだのはSitissy luvit。

彼の勝利は、新しい世代がシーンの主導権を握りつつあることを強烈に示している。

年末の「KING OF KINGS」で、彼がどこまで日本ヒップホップの歴史を更新できるか。